不動産投資家が押さえるべき「ESG」とは?

不動産投資家が押さえるポイント「ESG」とは?

「ESG」というワードをご存じでしょうか?

近年、テレビや雑誌などで報道されることも増えて認知度も高まっているため、知っている方も多いでしょう。

元々は企業への投資の際に重視されていたのですが、徐々に不動産投資でもこの考え方が浸透しつつあります。
ESGについて、改めて考えてみましょう。

この記事は約10分で読めます。

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ESGとは?

ESGとは?

まず、ESGとはそもそも何なのか、解説します。

ESGは、Environment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)の3つの言葉の頭文字をつなげて作られた造語です。

Environmentは、自然環境に配慮して地球を守ることを意識した取り組みのことです。

環境汚染の対策や、省エネへの取り組み、CO2排出量を削減する努力をしているか、あるいは生物の多様性に配慮しているか、などの点がチェックされます。

Socialは、労働条件を適正なものにしてワーク・ライフ・バランスも考慮することで労働環境を改善したり、男女平等を徹底した職場づくりをして人権問題への対策をしたりすることをいいます。

また、地域社会や児童労働問題などへの貢献もチェックポイントです。

Governanceは、企業がリスク管理のために法令を遵守し、情報を適切に開示して透明性が高く健全な経営をしているか、資本効率にも意識を向けているか、業績の悪化につながるような不祥事を回避する取り組みをしているかなどがチェックされるポイントです。

企業の分析や評価をこの3つの観点から行い、投資する方法をESG投資といいます。

この方法は、保険会社のような機関投資家が投資する際、積極的に進めている方法です。

一般的な投資では、財務諸表の内容を重視することが多いのですが、それと比較してパフォーマンスが高くなるケースも少なくありません。

似ているものとの違い

似ているものとの違い

ESGについて考えると、どうしても「SDGs」「SRI」など似た言葉が多く登場し、混乱することがあります。

そのため、ESGとその他の言葉について、どのような違いがあるのかを解説します。

 

まず、ESGとSDGsの違いについて解説します。

SDGsというのは、「Sustainable Development Goals」を略したものです。

これは、日本語にすると「持続可能な開発目標」という意味になります。

SDGsは、2015年に国連サミットで採択されたもので、かつてあったMDGsからつながるものです。

2030年までに持続可能でより良い世界を実現しよう、というのがその趣旨です。

そのために世界で達成するべき目標として、17の項目を掲げています。

これは、企業だけではなく国や地方公共団体など、全体で目指すべき目標を明確にしているものであり、企業の利益を優先したものではありません。

しかし、これを経営戦略に組み込むと中長期的に見た時に、企業価値が持続的に向上していくと考えられています。

 

ESGとの大きな違いとしては、対象となるのが企業なのか、それ以外も含まれるのかという点です。

企業は、ESGに取り組むことで結果的にSDGsも実現していくことになります。

そのため、SDGsがゴールであり、ESGはそのためのプロセスと考えることもできます。

SDGsに取り組んでいる企業は、結果的にESGにも取り組んでいるといえるでしょう。

 

SRIという言葉もありますが、これは「Socially Responsible Investment」の頭文字を取ったものです。
日本語で言うと、社会的責任投資という意味になります。

これは、ESG投資と似ている言葉になりますが、SRIの場合は投資先を選ぶ際の基準として経済状況以外での倫理的・社会的な価値観を重視するという方法です。

言うなれば、社会全体のその企業に対する期待感を投資へと反映させる方法です。

この考え方は古く、始まりは1920年代のキリスト教会といわれています。

その当時、教会が資産運用をする際の投資先を倫理的な観点で排除したのが先駆けとされていて、ESG投資とは重視するポイントが若干異なっています。

 

これ以外にも、ESGと似たような言葉は色々とあります。

内容も、似ているようで若干異なることも多いので、注意しなくてはいけません。

混乱しないように、それぞれの意味について確認してみましょう。

不動産投資でもESGに注目されている

不動産投資でもESGに注目されている

ESGというのは、元々企業への投資で着目されるポイントです。

しかし、今ではその考え方が企業投資だけでは収まらず、様々な投資で着目されるようになりました。

不動産投資でも、ESGの考え方が広がっているのです。

 

これまで、不動産投資では主にリスクとリターンを重視していました。

しかし、それに加わる3つ目のポイントとして、ESGが考慮されるようになったのです。

物件選びの際に、ESGによる社会的インパクトが意識されるようになったのです。

 

全国の投資用不動産保有者400名を対象として、グローバル都市不動産研究所ではESGに対する意識調査を行っています。

これは、不動産を通じて豊かな社会の実現を目標として実施されたものです。

その意識調査において、ESGというワードを聞いたことがある人は約3分の1と、それほど高いとは言えませんでした。

 

※参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000020953.html

最も知っている人が多かったのは20代で、半分以上は知っていました。

それ以降は、30代、50代、40代、60代と減っていて、60代の認知度は20%前半に留まりました。

 

では、不動産におけるESG投資についてはどのくらいの知名度があったのかというと、全体で24.3%となりました。

※参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000020953.html

まだ、不動産におけるESG投資については認知度が低いのですが、国ではすでにそれを重要視していて取り組みを開始しています。

今後、ESG投資は重要な役割があるとして、「ESG不動産投資のあり方検討会」を設置しているのです。

 

この検討会は国土交通省によって設置されているもので、様々な投資家からESGやSDGsに沿った中長期的投資を安定的に呼び込むことができるよう環境整備をすることで、少子高齢化や人口減少、防災、地球温暖化対策などの課題に対応できる不動産を形成していくことを目的としています。

この検討会から2019年に公表された中間とりまとめでは、ESGに配慮した不動産とは具体的にどういうことか、という内容を以下の様に示しています。

・環境へのインパクト:省エネ性能等の向上
省エネルギー性能等の高い建物への新築・改修は光熱費の削減につながり、中長期的には不動産価値にも反映される可能性がある。
具体的にはZEBやZEHの建築や省エネ改修などがあり、BELSのような建物の性能の見える化も進められている。

・社会へのインパクト①:健康性・快適性の向上
オフィスを健康性・快適性に優れたものとすることで、働く人の執務環境の改善や知的生産性の向上に繋がる。
テナントの魅力向上にもなり、中長期的には不動産価値にも反映される可能性がある。
オフィスの健康性・快適性に関しては、「CASBEEウェルネスオフィス」という認証制度も開始しているため、今後の拡がりも期待される。

・社会へのインパクト②:地域社会・経済への寄与
雇用・イノベーションへのインパクトとして、不動産開発や運用、投資が地域経済及び社会に寄与し、地域の価値を高めて不動産の中長期的なリターンの拡大にもつながる。
また、建物周辺環境へのインパクトとして、物件の新築や回収がその周辺環境におけるウォーカビリティの向上につながり、中長期的に不動産価値にも反映される可能性がある。

 

この他、社会へのインパクトとしては災害への対応や超少子高齢化への対応なども挙げられています。

特に、現時点ではヘルスケア不動産はあまり投資対象として見られていないものの、今後ESG投資としての必要性が広まれば投資家の姿勢も変化して投資対象になる可能性があるでしょう。

ESGを重要と判断する人は多い

ESGを重要と判断する人は多い

ESG投資は上記のような理由から注目されることが増えていますが、現実的にはそれ程多くの人に知られていません。

しかし、そういった人でもESGの内容を知ることで、重要と判断することが多いのです。

 

先程のアンケート結果の続きでは、ESG投資の内容を簡単に説明した上で投資先の判断材料・要素として重要になるかという質問もありました。

その結果、以下のグラフのような結果になったのです。

※参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000020953.html

回答者のうち4分の3近くの人は、重要、もしくはどちらかというと重要と回答しています。

ESGとは何かを知っている人は少ないのですが、内容そのものには関心があるということです。

 

ちなみに、重要だと思う理由については、「資産価値の中長期的な維持に寄与する」「投資のリターンにいい影響がある」「環境や社会のためになる」「資産運用の目的と合致する」といった回答がされています。

また、不動産のESG投資の中で、特に重要と思う分野については「地域社会・経済への寄与」が最も多い回答でした。

次いで、「気候変動への対応」「健康性・快適性の向上」が多く回答されています。

そして、今後の投資においてESGを意識するかという点では、以下のように回答されています。

※参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000094.000020953.html

全く意識しないという人は、わずか16.8%しかいません。

80%以上の人は、ESGを意識する可能性があると答えています。

そのため、今後の不動産投資ではESGが重要となってくるでしょう。

ESG対応物件の注意点

ESG対応物件の注意点

ESGに対応している物件に投資する場合、注意が必要な点があります。

それは、コストの問題です。

ESG対応の物件は、そうではない物件と比較して高額になる可能性があるのです。

 

一例として、一般住宅の価格を考えた場合、通常の住宅と省エネ住宅を比較すると、どうしても省エネ住宅の方が高くなってしまいます。

これは、使われる素材や建築工法の違いによるものです。

そうなると、借り手の問題も出てきます。

価格が高いということは、毎月の賃料も高くなるでしょう。

そうなった場合、入居者から敬遠されることも考えられるのです。

ESG対応住宅を好む人なら、多少高くても選ぶでしょう。

 

しかし、現状ではESGの認知度もそれほど高いものではなく、よく知らないという人も少なくありません。

そういった人は、高い賃料を払ってまでESG対応住宅を選ばないでしょう。

そのため、ESG対応物件に投資するのであれば、十分に注意しなくてはいけません。

 

しかしその一方で、今後ESG対応かどうかが重要になってくる可能性もあります。

そうなった場合、対応している物件は人気が高くなり、価格も高騰する可能性があります。

そうなってから投資するよりは、今のうちに対応物件に投資しておいた方が価格は低いでしょう。

 

国で取り組みを始めている以上、これからESG対応物件には更に注目が集まる可能性が低くはないのです。

コストが高いという点で、ESG対応物件は敬遠されることもあるかもしれません。

但し、将来的なことを考えると今が割安となる可能性も十分に考えられるのです。

 

その点も踏まえて、投資する物件は選んだ方がいいでしょう。

ESG投資の方法

ESG投資の方法

ESG投資をする場合、その手法は主に7つの種類があります。

その手法は、以下のようになっています。

  1. ネガティブスクリーニング
  2. ポジティブスクリーニング
  3. 規範に基づくスクリーニング
  4. ESGインテグレーション型
  5. サステナビリティテーマ投資型
  6. インパクト投資型
  7. エンゲージメント・議決権行使型

ただし、ESG投資は元々企業投資をメインに考えられたものです。

ESG投資が不動産投資でも注目されることになったとはいっても、やはり企業投資と不動産投資では選定基準が異なるでしょう。

そのため、上記の手法はそのまま不動産投資に当てはめるのが難しい点もあります。

不動産とESGに関しては、健康性や快適性に優れていると認められた不動産についてはESG不動産として認証されるという制度を設けることが考えられています。

その為の基準としては、「ESG投資の普及促進に向けた勉強会」の最終とりまとめで公開されています。

認証制度の評価要素としては、まず基本性能と運営管理、プログラムの3つの分類に分けられます。

その上で、基本性能では健康性・快適性、利便性、安全性と分けられます。

その後、それぞれに分類された評価要素に関して、評価の基準を満たしているかどうかで認証するかどうかを決定する、ということが想定されています。

認証制度によってESG対応の物件を明確にすることで、投資を喚起して不動産の供給を活発にしようと考えているのです。

海外では日本に先駆けて不動産でのESG投資が活発になっているので、日本でも関心が高まっていくでしょう。

今後、このESG認証を受けているかどうかは、不動産投資において重要なポイントとなることは充分に考えられます。

まとめ

不動産投資家が押さえるポイント「ESG」とは?

不動産におけるESG投資という考え方は、現時点でそれほど多くの人が関心を持っているものではありません。

しかし、不動産投資を取り巻く状況から考えると、今後は重要なポイントとなる可能性が高いことも間違いないでしょう。

国の取り組みで不動産に対するESG認証制度が設けられるようになると、一気にその注目度は高まると思われます。

そうなる前に、ESGを重視した不動産投資を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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