投資用不動産の売買契約が成立した後は、アパートローンの審査が行われ、無事に通過すると売買代金の残金支払、物件の引き渡しが行われます。
今回は、残金支払と引き渡しの一般的な流れについて解説しますので、初めて投資用不動産を購入するという方は、ぜひご覧ください。
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残金支払、引き渡しの流れについて
アパートローンの審査に通過した後、投資用不動産の買主、つまりこれからオーナーとなる方は、「やっと物件が手に入る」と安心していることでしょう。
しかし、そのような気持ちになるのはまだ早いです。
残金支払や引き渡しの流れをしっかり把握しておかなければ、この段階でトラブルが発生することも十分あり得ます。
投資用不動産における残金支払、引き渡しの一般的な流れに関しては、以下の通りです。
- 投資用不動産の最終チェック
- 登記申請書類のチェック
- アパートローンの融資実行
- 残金、諸費用の支払
- 引き渡し
①投資用不動産の最終チェック
売買契約を結んでから、残金支払、引き渡しが行われるまでには、およそ1ヶ月程度かかります。
投資用不動産の買主は、その期間に“物件状況等報告書”、“設備表”などをチェックし、内容と現状が合っているかどうかを確認しなければいけません。
物件状況等報告書とは、中古不動産の売買時、売主が買主に対して、目的不動産の状況を説明する書類です。
具体的には、以下のような項目が記載されています。
- 新築時の設計図等
- 増改築および修繕の履歴
- アスベスト使用の有無の調査の存否
- 耐震診断の有無
- 住宅性能評価書等の状況
- 建物瑕疵の存否または可能性の有無
- 過去の所有者と利用状況 など
また、設備表(付帯設備表)とは、売買対象不動産に関する設備の有無、故障や不具合の有無を買主に通知するための書類です。
残置するものと撤去するものの認識違いによるトラブルや、故障・不具合を“言った・言わなかった”のトラブルを防ぐ役割があります。
②登記申請書類のチェック
残金支払や引き渡しが行われると、その投資用不動産の所有権は買主に移ります。
ただし、所有権の移転を第三者に主張するためには、“所有権移転登記”を行わなければいけません。
また、アパートローンを借り入れて投資用不動産を購入する場合、“抵当権設定登記”を行う必要もあります。
これらの登記申請に必要な書類は、実際残金支払や引き渡しが実行される前に、早い段階で把握しておきましょう。
ちなみに、登記申請には数々の書類が必要ですし、手続きも非常に複雑です。
そのため、投資用不動産の買主は、基本的には司法書士に登記を依頼することを考えておきましょう。
司法書士に依頼すれば、手続きが途中で滞ってしまう心配もありません。
③アパートローンの融資実行
アパートローンで不動産投資を購入する場合は、残金支払の前に融資が実行されます。
もちろん、融資が実行される前に残金支払の期日が来てしまうと、買主は費用を工面するのが難しくなるため、ここのスケジュールはきっちり売主と話し合って調整しなければいけません。
④残金、諸費用の支払
無事に融資が実行された後は、残金とその他の諸費用の支払に移ります。
ここでいう残金とは、投資用不動産の売買代金の残り分、つまり売買代金から手付金の金額を差し引いたものであり、諸費用には以下のものが該当します。
- 登記費用
- 仲介手数料
- ローン諸経費
- 火災保険料
- 固定資産税、管理費等の清算金
これらの費用の決済を実施する金融機関は、一般的に買主が指定することになります。
理由としては、買主は残金の他、固定資産税等の清算金、仲介手数料など多くの支払いが必要になるからです。
ちなみに、固定資産税、管理費などに関しては、売主に請求される年税額等を、契約書に記載されている起算日を基に、日割りで清算するのが一般的です。
また、上記の“仲介手数料”は、投資用不動産売買の仲介を依頼した不動産会社に支払います。
⑤引き渡し
残金、諸費用の支払いがすべて完了すると、ようやく売主から投資用不動産の引き渡しが行われます。
具体的には、売主から物件の鍵や物件の関連書類等が手渡され、いつでも入居者付けなどの経営を始められる状態となります。
残金支払、引き渡しに必要な書類について
投資用不動産の残金支払、引き渡しを行う際、買主は金銭だけでなく、あらゆる書類も用意しなければいけません。
具体的には以下のようなものです。
- 印鑑(実印が望ましい・シャチハタは基本的に不可)
- 住民票(発行から3ヶ月以内のもの)
- 住宅用家屋証明書
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
- 金融機関預金通帳、銀行届出印
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
場合によっては、これらの他にも必要書類が出てくる可能性もあるため、引き渡しの当日を迎える前に、不動産会社の担当者に確認しておくことをおすすめします。
契約不適合責任について
投資用不動産の残金支払、引き渡しが行われる前に、買主は“契約不適合責任”について理解しておきましょう。
こちらは、不動産等の売買契約において、対象物に品質不良や品物違いなどの不備があった場合に、売主が買主に対して負う責任のことをいいます。
具体的には、買主から売主に対して、契約解除や損害賠償、追完請求や代金減額請求を行うことが認められる制度です。
“追完請求”とは、不動産等の売買において、物の引き渡しがなされたものの、引き渡されたものが種類、品質、
または数量において、契約の内容に適合しないときに、買主が売主に対し、目的物の修補や代替物の引き渡しなどを求めることをいいます。
ただし、買主が不動産売買契約書を細かくチェックしなかった場合、上記の権利を失ってしまうこともあるため、注意が必要です。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- 買主は引き渡しまでの期間に、物件状況等報告書や設備表をチェックすべき
- 登記申請に必要な書類は、残金支払や引き渡しが実行される前に把握すべき
- アパートローンの融資実行日と残金支払日のスケジュール調整は慎重に
- 残金支払時は、物件費用の他にも多くの諸経費を支払う必要がある
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!