【投資用不動産】投資用不動産売買における売主の契約違反について

  • 2021年4月21日
  • 2021年6月26日
  • 購入
【投資用不動産】投資用不動産売買における売主の契約違反について

投資用不動産を購入する場合は、当然その物件の所有者である売主と売買契約を結ぶことになります。

ただ、場合によっては、売主の契約違反が発覚し、売買がスムーズにいかないこともあります。

今回は、投資用不動産売買における売主の契約違反と、違反があった場合の買主の対応について解説します。

この記事は約5分で読めます。

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売主の契約違反は主に4種類

売主の契約違反は主に4種類

契約違反を行った売主と売買契約を結ぶ買主は、条項の重要性から鑑みて、以下の4つの契約違反について、原則契約解除事由の1つにできることが考えられます。

  • 引き渡し
  • 抵当権の抹消
  • 所有権移転登記等
  • 引き渡し完了前の滅失・毀損

引き渡し

売主には、売主と買主の合意によって決定された引き渡し日に、売買契約が成立した物件を引き渡さなければいけない義務があります。

つまり、引き渡し日になっているにも関わらず、売主から物件が手渡されることがない場合、契約違反に該当するということです。

ただし、引き渡し日時点において、買主からまだ売買代金の支払いがない場合は、この限りではありません。

売買代金の支払いと投資用不動産の引き渡しは、同時履行の関係に成り立ちます。

わかりやすくいうと、買主から代金が振り込まれて初めて、売主に引き渡しの義務が生まれるということです。

抵当権の抹消

売主は、投資用不動産の所有権移転の時期までに、抵当権など買主の完全な所有権を阻害する負担を抹消しなければいけません。

言い換えると、売主には期日に物件を引き渡す義務だけでなく、まっさらな所有権を買主に与える義務もあるということになります。

よって、抵当権が残った状態で売却することは、売主にとっての契約違反に該当します。

また、抵当権以外にも、“完全な所有権を阻害する負担”はいくつかあります。

具体的には以下の通りです。

  • 先取特権
  • 地上権
  • 賃借権
  • 根抵当権
  • 永小作権
  • 地役権
  • 使用貸借権 など

ちなみに、売主には、抵当権等を抹消するための費用を負担する義務もあります。

所有権移転登記等

売主は投資用不動産を売却する際、買主に対して所有権の移転登記申請手続をする義務があります。

また、登記申請に要する費用に関しては、原則買主が負担しますが、登記名義人の表示変更登記が必要な場合は、売主が費用を負担します。

これらの義務を売主が果たさなかった場合は、契約違反に該当するため、買主は覚えておきましょう。

その他、売主には相続登記に関する義務もあります。

具体的には、売主が相続によって取得した物件で、名義人がまだ被相続人になっている場合に、所有権移転登記の時期までに、自己(売主)名義に登記を変更しなければいけない義務です。

もちろん、売主がこちらの義務を果たさなかった場合も、契約違反に該当します。

引き渡し完了前の滅失・毀損

投資用不動産の引き渡し前に、買主と売主のいずれの責任でもない事由により、対象物件が滅失または毀損し、

契約解除となった場合、売主はすでに受け取った手付金や内金などを無利息で買主に返還しなければいけません。

このとき、売主から金銭の返還がなかったり、契約解除の手続きについて書面で通知しなかったりした場合は、契約違反に該当します。

ちなみに、上記の理由で契約解除になった売買について、買主は自己登記名義、仮登記などがある場合のみ、その登記の抹消手続きをすることの原状回復を済ませることで、売買代金の支払いをしなくても良いとされています。

売買契約における売主の違約金について

売買契約における売主の違約金について

投資用不動産売買において、売主に契約違反があった場合に備え、買主は契約書に違約金関連の項目を記載できます。

違約金の金額に関しては、一律売買金額の20%程度と定められるケースが多いですが、売主と買主の合意によって決定できることもあります。

また、民法上では、契約違反を理由に契約解除する場合、契約違反と相当因果関係にある損害を請求できるとされています。

しかし、実際買主が負った損害のうち、どの部分が相当因果関係に該当するのかについては、明確ではありません。

よって、こちらの条項では、契約時に前もって違約金額を定めておき、損害額がそれを上回っても下回っても、その差額は買主・売主のいずれも請求できないこととしています。

契約違反があった場合のその他の対応

契約違反があった場合のその他の対応

投資用不動産売買において、売主に契約違反があった場合、契約を解除して、事前に定められた違約金を請求する以外にも、買主には選択肢があります。

それは、契約を継続させたうえで、損害賠償請求を行うという方法です。

例えば、買主がどうしても取得したい投資用不動産があり、やっとの思いで売主との売買契約に漕ぎつけたとしましょう。

このとき、売主が引き渡しを行わないと、当然契約違反になりますが、ここで買主が契約を解除したとしても、結果的に欲しい物件を手に入れることはできません。

このようなケースで用いるのが、契約を継続させたうえでの損害賠償請求という方法です。

こちらを実践すれば、物件取得の可能性を残したまま、売主に対し物件の引き渡し、引き渡し遅延に基づく損害賠償請求ができます。

できるだけトラブルに繋がらないような対応をしよう

できるだけトラブルに繋がらないような対応をしよう

売主に契約違反があった場合、ついカッとなってしまい、即刻契約を解除したり、損害賠償請求をしたりしたくなる気持ちはわかります。

ただ、売主が誠意を見せている場合は、すぐ契約解除や損害賠償請求を行わず、後々損害分を補填してもらうことを考えるのが賢明です。

契約違反には違いないにしろ、売主にも何かしらの誤算やトラブルが起こっているかもしれません。

しかし、取引を仲介する不動産会社の問いかけや、買主の連絡に一切応じず、履行しようとする姿勢が見られない、つまり誠意が感じられない場合は、ただちに契約解除、損害賠償請求に踏み切るべきです。

今回の記事のポイントを整理!

【投資用不動産】投資用不動産売買における売主の契約違反について

今回の記事のポイントは以下になります。

  • 売主が引き渡し日に物件を引き渡さないのは当然契約違反にあたる
  • 売主には、所有権移転の時期までに買主の完全な所有権を阻害する負担を抹消する義務がある
  • 売主に契約違反があった場合に請求できる違約金は売買代金の20%程度が一般的
  • 契約違反には契約解除だけでなく、損害賠償請求でも対応できる

以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!

 

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