投資用不動産を購入する際、オーナーとなる方は、細かい物件のチェックをしなければいけません。
そんなときに便利なのが、今回解説する“レントロール”と呼ばれる資料です。
ここからは、レントロールの概要や見方、作成方法などについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事は約5分で読めます。
レントロールの概要
投資用不動産の賃貸状況がチェックできる一覧表のことを“レントロール”といいます。
具体的には、以下のような項目で構成されていて、現在当該物件でどのような賃貸契約が行われているのかが一目でわかります。
- 賃料
- 共益費
- 敷金
- 契約日
- 契約期間
- 入居者の属性 など
また、レントロールは投資用不動産の購入を検討する際、物件概要書とあわせて、不動産会社から受け取ることができます。
物件の良し悪しを判断するにあたって非常に重要な書類であるため、必ずチェックしなければいけません。
ただ、レントロールで良い数字が並んでいても、それが信用できるものとは限らないため、注意が必要です。
なぜなら、レントロールを作成する物件の売主には、実際よりも良い数字を並べ、良い物件に見せようとする方もいるからです。
よって、投資用不動産を購入するオーナーには、信頼できるレントロールかどうか、見極める力が必要になります。
レントロールの正しい見方について
信頼できるレントロールかどうかを見極めるために、オーナーとなる方は必ず以下のポイントをチェックしましょう。
- 空室の募集賃料
- 契約日の時期
- 預かり敷金
- 入居者の属性
- 賃料以外の収入
空室の募集賃料
まずチェックしたいのは、“空室の募集賃料”です。
レントロールの中には、満室時の利回りを高くするために、あえて空室の募集賃料を高めに設定しているものもあります。
よって、物件情報サイトなどを活用し、同じエリア、構造、築年数、間取りの物件を検索して、適切な賃料が設定されているかをチェックしましょう。
契約日の時期
レントロールのチェック項目としては、“契約日の時期”も挙げられます。
直近数ヶ月の間に、不自然な入居が多く見られる場合は、入居率が偽装されている可能性があるため、注意しましょう。
もし、賃貸物件の繁忙期(3、4月頃)以外の契約が非常に多い物件の場合は、本当に入居があったのかどうか、不動産会社等に確認することをおすすめします。
預かり敷金
レントロールでチェックすべきポイントには、“預かり敷金”も挙げられます。
具体的には、すべての入居者からきちんと敷金を預かっているかどうかチェックしましょう。
逆に、まったく預かり敷金がない投資用不動産の場合、敷金をゼロにしないと入居者が集まらないほど、入居者付けに苦しんでいる物件と判断できます。
入居者の属性
“入居者の属性”も、レントロールを見るときにチェックしたいポイントの1つです。
具体的には、入居者が同じ法人による一括借り上げではないかどうかのチェックです。
もし、すべての部屋が埋まっている状態であっても、それが社員寮などとしての利用であれば、当該法人が契約を打ち切ったとき、一気に賃料収入はゼロになってしまいます。
賃料以外の収入
レントロールをチェックする場合、“賃料以外の収入”について、記載されているかどうかもチェックしましょう。
投資用不動産における賃料以外の収入には、主に以下のものが挙げられます。
- 携帯基地局
- 自動販売機
- 看板広告 など
これらの収入を含めた上で、どうにか一般的な利回りを保っているような投資用不動産は、物件そのものの利回りがあまり高くないことがわかります。
レントロールに記載されていない項目も別途確認しよう
レントロールには、投資用不動産に関する以下のような項目が記載されていません。
- 滞納の有無
- 敷地外駐車場の有無
- 水道光熱費の支払い方法 など
賃料を滞納している入居者がいれば、当然購入後の不動産投資には影響が出ますし、敷地外駐車場がある場合は、そちらの契約を承継するのかについて確認しなければいけません。
また、共用設備などが数多く設置されていて、水道光熱費の負担が大きい場合も、利回りに影響が出てしまうため、物件購入前に必ず確認しておきましょう。
レントロールの作成方法
オーナーが所有する投資用不動産を売却する際は、購入希望者の参考資料としてレントロールを作成し、手渡さなければいけません。
また、レントロールは特に形式が決まっていませんが、必要な項目が記載されていないと、物件の良さをうまく伝えられず、売買が不成立になってしまう可能性があります。
よって、作成時には以下のポイントを押さえておきましょう。
- 必要なポイントを整理してから作成する
- わかりやすい内容にする
必要なポイントを整理してから作成する
レントロール作成時は、まず必要なポイントを整理しましょう。
自身が購入希望者だと仮定して、どのような情報を知りたいのかを考えた上で作成すれば、自ずと投資用不動産の売買成約率はアップします。
必要に応じて、以下のような情報を記載してください。
- 間取り(単身者向けなのか、ファミリー向けなのか)
- 面積(坪数または平米数)
- 賃料
- 坪単価
- 契約開始日
- 解約日
- 敷金、礼金(賃料の何ヶ月分か)
- 契約者名
- 戸数稼働率
- 月間賃料
- 年間賃料
- 満室時全体賃料 など
わかりやすい内容にする
投資用不動産の購入希望者に対し、物件の良さを訴求するのであれば、なるべくわかりやすい内容にしなければいけません。
つまり、先ほど解説した情報をすべて詰め込むようなレントロールではいけないということです。
例えば、購入希望者が法人であり、社内で物件を活用するような場合、それほど多く情報を記載する必要はありません。
投資用不動産のオーナーに向けた情報を羅列すると、非常に見にくい内容になってしまいます。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- 投資用不動産の賃貸状況がチェックできる一覧表のことを“レントロール”という
- 信頼できるレントロールか見極めるためには、各項目の不明点を明らかにしなければいけない
- レントロールに記載されていない情報は別途確認すべき
- 投資用不動産売却時に作成するレントロールは、ポイントが整理されたシンプルな内容にすべき
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!