投資用不動産を購入する際は、すでに建築された中古物件から選ぶケースが多いです。
また、中古の投資用不動産の中には少し特殊なものも存在し、そのうちの1つに“事故物件”が挙げられます。
今回は、事故物件で行う不動産について解説しますので、気になる方は参考にしてください。
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事故物件の概要
事故物件は、一般的に“心理的瑕疵物件”とも呼ばれるもので、事件や事故が原因の死、自殺、孤独死などが発生した物件をいいます。
ただ、明確な定義はこれといってなく、あくまでも事例ごとに決定されるのがスタンダードです。
ちなみに、事故物件には、建築基準法に違反している“法的瑕疵物件”や、シロアリ被害などに遭っている“物理的瑕疵物件”なども挙げられますが、今回は、心理的瑕疵物件を対象に解説したいと思います。
事故物件で不動産投資はできるのか?
結論からいうと、事故物件で不動産投資をすることは不可能ではありません。
前述の通り、事故物件はあくまで、過去に死亡事件・事故が発生したという事実のある物件であり、不動産としての機能そのものに問題はないからです。
また、室内をフルリフォームすれば、まったく事故物件には見えない綺麗な物件として、貸し出すことも当然可能です。
事故物件で行う不動産投資のメリット
事故物件で行う不動産投資には、主に以下のようなメリットがあります。
- 購入費用が安い
- 利回りが高い
購入費用が安い
事故物件で行う不動産投資のメリットとしては、まず“購入費用が安い”ということが挙げられます。
後述しますが、事故物件にはいくつかのデメリットがあることで、同じエリア・間取り・設備であっても、通常の投資用不動産より安く購入できるものが多いです。
不動産投資におけるもっとも大きい支出は、やはり物件を購入する際に利用する借入金であるため、ここの金額を下げられるのは大きなメリットだと言えます。
利回りが高い
事故物件で行う不動産投資のメリットには、“利回りが高い”という点も挙げられます。
利回りは、投資した金額に対して得られる見込み収益の割合であるため、購入費用が安ければ必然的に高利回りになります。
また、エリアや物件の築年数にもよりますが、事故物件の中には20%もの高利回りを実現できる物件も存在します。
事故物件で行う不動産投資のデメリット
一方、事故物件で行う不動産投資には、以下のようなデメリットもあります。
- 入居者を集めにくい
- 高い賃料を設定しにくい
- 告知義務がある
入居者を集めにくい
事故物件における、投資用不動産としてもっとも致命的なポイントは、やはり“入居者を集めにくい”という点です。
どれだけ好立地で、設備が揃っている物件でも、過去に死亡事件や事故があった場合、敬遠する方は圧倒的に多くなります。
特に、有名な殺人事件が発生した物件などは、そのエリア全体の治安の悪さも懸念されてしまいます。
先ほど、事故物件のメリットとして“利回りが高い”ということを挙げましたが、入居者が一向に決まらない場合、どれほど安く購入できたとしても、利回りは良くなりません。
高い賃料を設定しにくい
事故物件で行う不動産投資のデメリットとしては、“高い賃料を設定しにくい”という点も挙げられます。
これは、死亡事件や事故があったことにより、賃料を低めに設定しなければ、なかなか入居者がつかないことを意味しています。
よって、もし空室を埋められたとしても、似たような条件の投資用不動産と比べて、賃料収入は少なくなる可能性が高いです。
告知義務がある
事故物件を投資用不動産として貸し出す場合、貸主には“告知義務”が発生します。
これは、宅地建物取引業法で定められたルールであり、事件や自殺、あるいは他殺などがあった事故物件を貸し出す場合には、入居者に重要事項として告知しなければいけません。
つまり、過去に事件や事故が発生したことを隠して、入居者に貸し出してはいけないということです。
もし、事故物件に関する告知をしないまま、賃貸借契約を成立させてしまったら、後々事故物件の事実を知った入居者から、告知義務違反として損害賠償請求などを求められる可能性があります。
ちなみに、入居者はネット上に存在する事故物件の情報をまとめたサイトなどから、情報を知ってしまうというケースが多いです。
【結論】事故物件で不動産投資はしない方が良い
事故物件で行う不動産のメリットは、前述の通り購入費用が安いこと、利回りが高いことですが、これは事故物件に限ったことではありません。
じっくり投資用不動産を選定すれば、高利回りかつ心理的瑕疵のない物件を購入できる可能性は十分あります。
また、事故物件を安く購入できたとしても、入居希望者に敬遠され、空室だらけの状況が続くと意味がありません。
リスクとリターンが釣り合っていないため、投資用不動産として事故物件を購入するのは控えましょう。
購入した後、事故物件にしないための対処法
不動産投資では、購入後にオーナーが所有する投資用不動産で事件や事故が起こり、事故物件になってしまうというケースも当然あります。
事件に関しては、あらかじめ発生を防止するのが難しいですが、自殺に関してはある程度対処できます。
例えば、契約時に管理会社から入居者へ、“敷地内もしくは室内で自殺、他殺などの事件を起こした場合、所有者から遺族保証人に損害賠償請求ができる”と説明してもらうことなどが、対処法として挙げられます。
これはもちろん、賃貸借契約書にも記載しておかなければいけません。
その他、高齢者の方をメインのターゲットにする場合は、事故物件になった際の保険への加入も検討しましょう。
高齢者の方は、室内で転倒したり、周囲の方が気づかない間に亡くなっていたりする可能性が高いため、その点のケアを怠ってはいけません。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- 事故物件でも、不動産としての機能を失っていなければ貸し出すことが可能
- 事故物件は購入費用が安く、利回りも高いのがメリット
- 入居者が集まりにくく、高い賃料も設定しにくいのが事故物件のデメリット
- 購入後、事故物件になるのを防ぐためには、契約内容を工夫したり、保険に加入したりする必要がある
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!