不動産投資を始めるにあたって、絶対に欠かせないものといえば、なんといっても資金です。
多くの方は、アパートローンを組んで不動産投資を始めますが、中には“フルローン”を組む方もいます。
今回は、フルローンのメリット・デメリットから、果たしてこの選択はどうなのかについて解説したいと思います。
この記事は約5分で読めます。
フルローンの概要
不動産投資にかかる物件の購入費用について、自己資金を一切用意せず、すべて金融機関からの借入で賄うことを“フルローン”といいます。
“全額ローン”とも呼ばれます。
例えば、3,000万円の投資不動産を購入する場合でいうと、金融機関から3,000万円すべてを借り入れるケースが該当します。
ちなみに、不動産投資を始める際には、物件の購入費用以外にも不動産取得税や登記費用、各種保険料などがかかりますが、フルローンはあくまで“購入費用”を全額借り入れることを指します。
上記の諸経費もすべて借り入れることは“オーバーローン”といい、厳密にはフルローンとは異なります。
フルローンのメリット
では、フルローンで不動産投資を始めることには、一体どのようなメリットがあるのでしょうか?
詳しく見てみましょう。
- すぐに不動産投資を始められる
- 自己資金を別の用途に使える
すぐに不動産投資を始められる
フルローンを組めば、手元にまとまった資金がない方であっても、すぐに不動産投資を始められる可能性があります。
もちろん、これは審査に通過した場合の話ですが、もし利用可能であれば、好条件の物件を他の投資家より先に購入できるかもしれません。
自己資金を別の用途に使える
フルローンで不動産投資を始めるということは、その分自己資金に余裕が出るということになります。
また、その資金は、不動産投資に必要なランニングコストや、広告宣伝費、リノベーション費用などに回すことが可能です。
フルローンのデメリット
一方で、フルローンで行う不動産投資には、以下のようなデメリットもあります。
- 総返済額が増える
- 投資規模拡大に時間がかかる
- 金利上昇時のリスクが大きくなる
- 審査に通りにくくなる
総返済額が増える
フルローンで不動産投資を始める一番のデメリットは、やはり総返済額が増えるという点でしょう。
不動産投資を行う場合、賃料収入の中から毎月ローンを返していくのが一般的ですが、総返済額が大きいフルローンの場合、少しでも空室期間が長引くと、毎月の返済が困難になる可能性があります。
つまり、スタートダッシュに失敗すると、たちまち窮地に追い込まれることも考えられるということです。
投資規模拡大に時間がかかる
先ほども触れたように、アパートローンの返済分は、毎月得られる賃料収入から差し引いていくのが一般的です。
しかし、フルローンを組んでしまうと、たとえ問題なく返済していったとしても、自己資金を投入してローンを
組む場合と比べ、明らかに手元に残る資金は少なくなります。
よって、なかなか資金が貯まらず、2件目、3件目の投資用不動産を購入するまでの期間は長引いてしまうでしょう。
金利上昇時のリスクが大きくなる
日本は世界的に見ても、極端に金利が低い国として知られています。
ただ、金利は時の流れとともに少しずつ変化していくものであるため、今後日本の金利が上昇しないという保証はどこにもありません。
また、金利が上昇すれば、当然ローンの返済方法によっては負担が増えることになりますが、フルローンはそのリスクが非常に高いです。
なぜなら、総返済額が大きいだけでなく、返済期間も長期になる可能性が高いからです。
つまり、返済期間が長いことで、その間に金利が上がるリスクが高まってしまうというわけです。
審査に通りにくくなる
フルローンで不動産投資を始める場合、利用時の審査は非常に厳しくなります。
なぜなら、金融機関は自己資金をまったく投入しない債務者に対して、あまり融資をしたくないと考えるからです。
フルローンの返済が遅れると、融資金額が大きい分、債権者である金融機関のダメージは大きくなってしまいます。
ましてや、返済不可能になってしまったら、金融機関は莫大な損失を被る可能性もあるため、敬遠されるのは致し方ありません。
よって、手元資金が乏しい方でも利用できるものの、ある程度安定した収入や対象物件の収益性がなければ、なかなか審査には通過しないでしょう。
【結論】フルローンは危険なのでおすすめできない
ここまで解説したメリット・デメリットを踏まえると、やはりフルローンで不動産投資を始めることはおすすめできません。
確かに、購入費用を一切用意せず、欲しい物件を手に入れられるというのは魅力的ですが、長期的なスパンで考えるとリスクが高すぎます。
また、自己資金が少なくても利用できるとはいえ、それは厳しい審査に通過した場合のみです。
自己資金は10~20%投入するのがおすすめ
投資用不動産の購入時は、フルローンではなく10~20%程度自己資金を投入しましょう。
例えば、3,000万円の投資用不動産を購入する場合であれば、300~600万円程度を自己資金から投入し、残りの2,400~2,700万円を借り入れるべきだということです。
こうすることで、毎月の返済負担は平均的なものになりますし、金融機関による審査の難易度、金利変動のリスクも下がります。
もちろん、自己資金を用意することは、不動産投資の開始時期が遅れることや、他のリスクに対応する資金的な余裕がなくなることにも繋がりかねません。
ただ、不動産投資において大事なのは、“早く始めること”でも“初期費用をできるだけ抑えること”でもありません。
長期的な目で見て、できる限り収入を安定させられるよう、計画を立てなければ、たとえスムーズに始められたとしても、十分な結果を出す前に立ち行かなくなるでしょう。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- フルローンの審査に通過すれば、手元の資金が少なくても不動産投資を始められる
- フルローンは総返済額の増加、金利上昇リスクの上昇に繋がるため、おすすめできない
- フルローンは金融機関にとってリスクが大きいため、審査の難易度が高い
- アパートローン利用時は自己資金を10~20%投入するのがおすすめ
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!