投資用不動産を購入する際、買主は不動産会社を介し、売主と売買契約を結びます。
また、売買契約では、不動産会社からさまざまな項目に関する説明が行われますが、当然買主自身も細かくチェックしないと、後々トラブルに繋がる可能性があります。
ここからは、特に細かくチェックしたい契約書の項目について解説しましょう。
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細かくチェックしたい項目は主に5点
投資用不動産購入時の売買契約書には、当然最初から最後までしっかりと目を通さなければいけませんが、特に詳細を確認しておきたい項目がいくつか存在します。
具体的には以下の通りです。
- 購入代金の決済時期、決済方法
- 引き渡し時期
- 賃料、敷金
- 抵当権
- 契約不適合責任
それぞれ細かく解説しましょう。
購入代金の決済時期、決済方法
投資用不動産購入時の売買契約書では、まず物件購入代金の支払い方法、決済方法を細かくチェックしましょう。
投資用不動産の購入代金は、基本的に2回に分けて支払われます。
具体的には、以下のような形で分けられます。
支払う金額 | 支払うタイミング | |
1回目 | 購入代金の一部(手付金) | 申し込み時あるいは契約締結時 |
2回目 | 残りの残代金 | 引き渡し時 |
ただ、このように購入代金の支払いが分けられるのは、あくまで一般的な不動産売買契約の場合です。
契約書の内容によっては、引き渡しより前に残代金を支払わなければいけないこともあります。
また、売主が希望する決済方法にもさまざまな種類があるため、「購入代金が支払えない!」ということにならないように、必ず確認を怠らないようにしましょう。
引き渡し時期
投資用不動産購入時の契約書では、物件の“引き渡し時期”も細かくチェックしましょう。
投資用不動産の中には、すでに入居者がおらず、空室になっている物件だけでなく、入居者がいる状態で引き継ぐオーナーチェンジ物件もあります。
また、買主が購入を決定した時点で、売主が対象物件を何かしらの用途で使用しているという可能性もあります。
このような場合、物件の引き渡しが少し遅れることも想定しながら、売買契約を結んだ時点で引き渡し時期がハッキリしているかを確認しましょう。
チェックしていない場合、不動産投資を始める時期になっても、まだ物件が引き渡されないという状況になることも考えられます。
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賃料、敷金
投資用不動産の購入時、契約書では“賃料”や“敷金”に関する項目についても、細かくチェックしておきましょう。
具体的には、以下の2点です。
- 賃料は何月分から自身(買主)の元に入るのか?
- 入居者が売主(前オーナー)に預けている敷金はあるのか?
例えば、購入した投資用物件の引き渡し日が、1月1日だったとしましょう。
この場合、通常買主は、1月分の賃料から自身の利益にすることができます。
しかし、すでに前年12月中に、入居者から前オーナーに1月分の賃料が支払われているということも考えられます。
こういったケースではどう対応してもらえるのかについては、契約書で細かく確認しましょう。
また、入居者が前オーナーに敷金を預けている場合、新オーナーとなる買主は、それをそのまま引き継がなければいけません。
もし、売主も買主も引き継ぐことを忘れていると、退去時入居者に返還できる資金がなく、トラブルに発展してしまう可能性があるため、注意しましょう。
抵当権
投資用不動産購入時は、その物件に“抵当権”が付いていないかどうか、契約書で必ず確認しましょう。
これは、金融機関等が持っている権利で、債務者のローン返済が困難になったとき、当該物件を担保にできるという権利を指します。
つまり、抵当権が付いている投資用不動産を購入してしまうと、前オーナー(債務者)が債務不履行になってしまった時点で、新オーナーは金融機関に物件を没収されてしまうということです。
このようなことは、決してあってはいけませんので、確認忘れのないようにしましょう。
契約不適合責任
投資用不動産購入時は、“契約不適合責任”に関する項目も詳しくチェックしておきましょう。
これは、従来の“瑕疵担保責任”に代わって施行されたもので、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して、契約の内容に適合しない場合に、売主が負う責任を指しています。
つまり、契約内容と明らかに違う物件を引き渡したときに、売主が買主に対して負う責任です。
ただ、不動産売買において、契約不適合責任は必ずしも絶対的なものではありません。
契約書内に、“契約不適合責任免除特約”が付いている場合は免除されます。
もちろん、売主が投資用物件の瑕疵を知りながら伝えなかった場合などは、契約不適合責任免除特約が無効になります。
また、この項目に関しては、不動産会社から重要事項として説明されるため、もし納得いかないのであれば、契約を見送ったり、売主に事情を聞いたりすることをおすすめします。
投資用物件引き渡し時、売主に契約違反があった場合は?
ここまで解説したチェックポイントは、契約後のトラブル発生を未然に防ぐためのものです。
では、細かくチェックしたにも関わらず、引き渡し時売主に契約違反があった場合は、どうすれば良いのでしょうか?
この場合は、まず仲介先の不動産会社に相談することをおすすめします。
また、売主が誠意を見せている場合は、なるべくトラブルになるのを防ぐため、すぐ損害賠償請求をせず、後々損害分を補填してもらうことを考えましょう。
しかし、一切買主や不動産会社の問いかけに応じないなど、売主に誠意が見られない場合は、すぐさま契約を解除し、損害賠償を請求すべきです。
ちなみに、投資用不動産の引き渡し時に起こり得る売主の契約違反には、主に以下のようなことが挙げられます。
- 引き渡しが期日まで実施されない
- 引き渡し時点で、契約書に記載されていた補修工事が完了していない など
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- 不動産売買契約時、購入代金をいつ支払うのか、どんな方法で支払うのかは必ずチェックすべき
- 契約時、引き渡し時期が明確になっているかどうかも確認する
- 賃料を取得できるタイミング、敷金の有無も重要なチェックポイント
- 抵当権がある投資用不動産は原則購入してはいけない
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!