投資用不動産を購入しようとする方の中には、潤沢な自己資金を持つ方もいるでしょう。
また、そんな方々の悩みとして、「投資用不動産は“キャッシュ”で購入すべきなのか、“ローン”で購入すべきなのか」ということが挙げられます。
ここからは、キャッシュで投資用不動産を購入するメリット・デメリットを見てきましょう。
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キャッシュで物件を購入するメリットは主に3つ
まず、キャッシュ一括での投資不動産購入におけるメリットを見てみましょう。
具体的には、以下の3つです。
- 金利を気にしなくて済む
- 審査に通るのを待つ必要がない
- 好条件で物件を手に入れられる可能性がある
金利を気にしなくて済む
キャッシュで投資用不動産を購入すれば、当然金利のことを気にする必要はなくなります。
ローン利用時にかかる金利は、長い目で見れば大きな負担になるため、これはシンプルながら大きなメリットと言えるでしょう。
ちなみに、ローン借入先ごとの金利相場は以下の通りです。
借入先 | 金利相場 |
メガバンク・都市銀行 | 1%前後 |
地方銀行 | 1%半ば~4%半ば |
信用金庫・信用組合 | 2.1%~2.9% |
審査に通るのを待つ必要がない
不動産投資ローンで投資用物件を購入する場合、短くても2週間程度は審査結果を待つ必要があります。
もちろん、それ以上の待ち時間が発生することもありますし、長い間待っていたからといって、必ずしも審査に通過するとは限りません。
一方、キャッシュで不動産投資を購入する場合、審査を受ける必要もありませんので、購入の意思決定から物件引き渡しまでの期間が短くなります。
つまり、不動産投資開始までの時間効率が良くなるということです。
好条件で物件を手に入れられる可能性がある
投資用不動産の売主は、さまざまな理由で物件を売り出しています。
また、中には「早急に現金が必要になった」という切実な理由で、とにかく早く売却したいと考えている方もいます。
このような売主が相手の場合、キャッシュで購入することによって、少し割安な価格で投資用不動産を譲ってもらえる可能性もあります。
購入価格を抑えることができれば、当然利回りは上昇しますし、その後不動産投資によって初期費用を回収するまでの期間も短くできます。
キャッシュで物件を購入するデメリットは?
続いては、キャッシュ一括で物件を購入することのデメリットを見ていきましょう。
- レバレッジ効果が得られない
- 団信に加入できない
- 今後の備えが少なくなる
レバレッジ効果が得られない
キャッシュで投資用不動産を購入する場合、今手元にある金額を超える物件は取得できません。
つまり、少額の資金で大きなリターンが得られる“レバレッジ効果”はまったくないということです。
ローンを利用すれば、手持ち資金の数十倍もの価格が付いた物件を購入することもできるため、この点はデメリットだと言えるでしょう。
団信に加入できない
不動産投資ローンにはさまざまな種類がありますが、そのほとんどが利用条件として、“団信(団体信用生命保険)”への加入を義務付けています。
これは、ローン契約者が返済期間中に亡くなってしまったり、高度障害状態になってしまったりした場合に、ローンの残高を代わりに支払ってもらえる制度をいいます。
加入していれば、ローン契約者に万が一のことが起こっても、残された家族がローン返済に追われることはありません。
しかし、これは当然、ローンを利用した場合にのみ加入できる保険です。
キャッシュで投資用不動産を購入する場合は、すでに購入費用を全額支払っている状態のため、特に保証が付きません。
今後の備えが少なくなる
いくら自己資金が潤沢な方であっても、キャッシュで投資用不動産を購入するとなると、自己資金の大半は失うことになるでしょう。
また、自己資金が少なくなるということは、当然不動産投資の備えとなる資金も少なくなることを意味しています。
不動産投資では、以下のような場合に急なコストがかかるため、ある程度自己資金を残した状態にしておかなければ苦しいでしょう。
- 空室が一気に増えたとき
- 大規模な修繕が必要になったとき
- 自然災害が発生したとき など
キャッシュでの投資用不動産購入に向いている人
では、キャッシュ一括での投資用不動産購入に向いているのは、一体どんな方なのでしょうか?
以下に該当する方は、ローンを利用せず、キャッシュのみで物件を購入しても良いと言えるでしょう。
数億円単位の自己資金を所有する方
なかなかいないとは思いますが、数億円単位の自己資金を持っている方は、キャッシュで投資用物件を購入しても問題ないでしょう。
例えば、このような方が数千万円単位の投資用物件をキャッシュで購入しても、まだ手元には数億円単位の自己資金が残るため、今後の備えの心配をする必要はほとんどありません。
すでに他の投資で成功している資産家の方
すでに他の投資で結果を出している方も、キャッシュ一括で投資用不動産を購入して良いでしょう。
なぜなら、このような方は、複数の収入源があることによって、投入した自己資金の回収スピードを早めることができるからです。
キャッシュでの投資用不動産購入に向いていない人
一方、以下に該当する方は、潔くローンを利用して投資用物件を購入した方が良いでしょう。
一括購入で自己資金を使い果たしてしまう方
先ほど解説したように、不動産投資を始めるのであれば、物件購入後もある程度自己資金を残しておく必要があります。
よって、キャッシュでの購入でほぼすべての自己資金を使い果たしてしまうような方は、不動産投資ローンを組むべきです。
懐が寂しい状態で不動産投資を始めるのは、あまりにもリスクが高すぎます。
ファミリー世帯
幼い子どもを持つファミリー世帯が不動産投資を始める場合も、なるべくローンを組んで物件を購入するべきでしょう。
なぜなら、子どもがいる世帯は、私生活において急にまとまった費用が必要になるケースが多いからです。
また、子どもが成長すれば、必要な費用はどんどん増えていくため、投資用不動産の購入に自己資金を費やしすぎるのは得策ではありません。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- キャッシュで投資用不動産を購入すれば、金利や審査の心配がいらなくなる
- キャッシュでの購入で、購入価格を安くしてもらえる可能性がある
- キャッシュでの購入に団信のような保証はない
- キャッシュで購入するとリスクに備える資金が少なくなる
- 他の投資で成功している方はキャッシュでの購入がおすすめ
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!