投資用不動産の購入時には、ほとんどの方が不動産ローンを利用します。
ただ、ローンを利用するにあたって、「頭金を用意すべきなのかわからない…」「どれくらいの金額が必要かわからない…」という不安を抱える方は多いでしょう。
ここからは、そんな頭金の概要や、用意することのメリット・デメリットについて解説します。
頭金を支払ってローンを組むか、フルローンで物件を購入するかによって、その後に大きな差が生じるのでこれから不動産投資を検討されている方は必見です。
この記事は約5分で読めます。
頭金って何?
投資用不動産を購入する際、ローンではなく自己資金で支払う部分のことを“頭金”といいます。
例えば、4,000万円の物件を購入する際、3,500万円をローンで賄うのであれば、残りの500万円が頭金ということになります。
目安としては、物件価格の2割程度用意すべきだと言われていますね。
また、頭金は必ずしも用意しなければいけないものではありませんが、場合によっては、必要なこともあります。
主に以下のような場合ですね。
- 融資金額が不十分な場合
- 融資が受けにくい時期に物件を購入する場合
それぞれ具体的に解説しましょう。
融資金額が不十分な場合
購入する投資用物件が決定したら、金融機関に対してローンの申し込みをします。
また、金融機関は申込者の属性や物件の立地、築年数、収益性等から、いくらまで融資可能かを決定します。
ただ、このとき金融機関における物件、申込者の評価が低いと、満足のいく融資を受けられない可能性があります。
つまり、希望の物件を買えるほどの金額を貸してもらえないということですね。
このような場合は、差額を頭金で補填する必要が出てきます。
融資が受けにくい時期に物件を購入する場合
例えば、同じ物件、同じ人物に対しての融資でも、時期によってその上限金額は変動することがあります。
不動産の需給バランスが崩れたときなどは、金融機関が大きな金額を貸し付けない傾向にあります。
つまり、これから投資用不動産を購入する方にとっての、“融資が受けにくい時期”ですね。
この時期にどうしても投資用不動産を購入したいのであれば、なるべく多くの頭金を用意し、金融機関からの信頼を勝ち取って、融資を引き出さなければいけません。
頭金を用意することのメリット
投資用不動産購入時に頭金を用意することのメリットは、主に以下の通りです。
- 返済額を減らせる
- 金利変動へのリスクヘッジになる
- 審査に通過しやすくなる
1つ1つ解説していきましょう。
返済額を減らせる
頭金を用意すれば、当然その分だけローンの返済額を減らすことができます。
また、ローンの返済額には金利もプラスされるため、それの負担も減らせるのは大きなメリットですね。
もちろん、ローンを完済するまでの期間も短くなるため、不動産投資において、純粋な利益を出すまでの期間も短縮できます。
金利変動へのリスクヘッジになる
ローン返済額に係る金利は、元金に対してかけられます。
そのため、頭金を用意し、融資額を少なくすれば、今後金利が上昇した場合のリスクヘッジになります。
これも大きなメリットですね。
現在、日本は世界的に見ても非常に金利が低い国ですが、今後上昇する可能性はゼロではないため、このような保険をかけておくのは重要だと言えます。
審査に通過しやすくなる
頭金を用意すれば、単純に不動産ローンの審査に通過しやすくなります。
なぜなら、金融機関に対し、「これだけ自己資金があるなら、信頼できるだろう」というイメージを与えられるからです。
ただ、不動産ローンの審査は住宅ローンとは違い、申込者だけでなく物件の信頼性も考慮されます。
そのため、頭金を多く用意したからといって、必ずしも希望通りの融資が受けられるとは限りません。
ここだけは留意しておきましょう。
頭金を用意することのデメリット
一方、投資用不動産購入時に頭金を用意することには、以下のようなデメリットもあります。
- 用意するのが大変
- 不動産投資の開始が遅れる
- リスクに対応しにくくなる
それぞれ詳しく見てみましょう。
用意するのが大変
冒頭で、不動産ローンにおける頭金の目安は、物件価格の2割程度という話をしましたね。
ただ、投資用不動産には高額なものも多く、たとえ2割程度とはいえ、最低でも頭金は数百万円程度用意しなければいけない計算になります。
老後資金や教育資金など、他の用途の貯蓄もしながら、これだけの自己資金を用意するということは、決して簡単ではありません。
不動産投資の開始が遅れる
フルローンで投資用不動産を購入すれば、比較的スピーディーに不動産投資を始められます。
自己資金を用意する必要がありませんからね。
一方、頭金に充てる資金を用意するとなると、当然ある程度の時間が必要になるため、不動産投資の開始時期はどんどん遅くなってしまいます。
リスクに対応しにくくなる
不動産投資には、空室や自然災害など、ありとあらゆるリスクが存在します。
したがって、ある程度自己資金を用意し、不測の事態に対応できるようにしておかなければいけません。
ただ、自己資金のほとんどを頭金に充ててしまうと、経済的な余裕はほとんどなくなり、上記のようなリスクに対応しにくくなってしまいます。
頭金あり、なしの違いを具体的に比較!
200万円の頭金ありで1,000万円の投資用不動産を購入する場合と、頭金なしで購入する場合を比較して表にまとめました。
違いがイメージしにくいという方は、ぜひチェックしてみてください。
ちなみに、以下の表では、分かりやすいよう年間の賃料収入を100万円、ローン金利を5%として計算しています。
また、便宜上、利息額以外の費用は含んでいません。
頭金200万円 | 頭金なし | |
借入額 | 800万円 | 1,000万円 |
年間利息額 | 40万円(800万円×5%) | 50万円(1,000万円×5%) |
年間収入 | 60万円(100万円-40万円) | 50万円(100万円-50万円) |
物件に対する利回り | 6%(60万円÷1,000万円) | 5%(50万円÷1,000万円) |
自己資金に対する利回り | 30%(60万円÷200万円) | – |
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- 頭金は融資額が不十分な場合、融資が受けにくい場合に必要
- 頭金の目安は物件価格の2割程度が一般的
- 頭金を用意すれば返済額が減り、金利変動へのリスクヘッジ、審査のプラス材料にもなる
- 頭金を用意するのは大変で、自己資金をすべて頭金に回すと不動産投資で苦労する
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!