投資用不動産と聞くと、マンションをイメージする方がほとんどだと思います。
しかし、実際は戸建て物件やアパートなど、他の投資用不動産を選ぶ方も数多く存在します。
今回は、築年数が数十年程度経過したアパートで行う不動産投資のメリット・デメリットを中心に解説したいと思います。
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築年数が経過したアパートで行う不動産投資のメリットは?
築年数が数十年程度経過した中古のアパートを購入し、不動産投資を行うことには、以下のようなメリットがあります。
- 物件の値下がりによりグロス利回りが高くなる
- 購入時のシミュレーションがしやすい
- 経年劣化に伴う価格下落の幅が狭い
物件の値下がりによりグロス利回りが高くなる
築年数が経過したアパートは、物件価格の値下がりにより、グロス利回りが高くなる傾向にあります。
グロス利回りとは、年間の賃料収入を物件価格で割り戻し、算出した利回りをいい、“表面利回り”とも呼ばれます。
例えば、年間の賃料収入が100万円で、物件価格が2,000万円の場合、グロス利回りは以下のように算出します。
・グロス利回り=100万円/2,000万円×100%=5%
こちらの数値は、投資用不動産の収益性を判断する上で欠かせない指標ですが、計算式に物件購入時の諸経費、管理費、固定資産税といったものは考慮されていません。
よって、複数のアパートから優れた物件を選びたいときには、上記の費用も考慮された“ネット利回り(実質利回り)”も比較する必要があります。
購入時のシミュレーションがしやすい
築年数が経過したアパートの中には、入居者が残った状態で購入する“オーナーチェンジ物件”も多く存在します。
このような物件は、たとえ見た目や設備などが古かったとしても、正確な入居率や経費、修繕履歴などをチェックできるため、購入時のシミュレーションはしやすいです。
一方で、まだ誰も入居していない新築物件を建築、購入する場合、収益性はまったくの未知数であるため、思いの外入居者が集まらないことも十分考えられます。
ただし、オーナーチェンジ物件のアパートは、入居者がいる部屋の内見が難しかったり、引き渡し後に瑕疵が見つかったりするリスクもあるため、注意しなければいけません。
経年劣化に伴う価格下落の幅が狭い
アパートだけに限らず、投資用不動産は築年数が経過するほど、建物や設備が劣化し、価格も下落します。
ただ、元々築年数が経過しているアパートの場合、購入時にはすでに評価額がかなり下がっているため、その後大きく下落する心配は少ないです。
また、購入時から売却までの値下がり幅が狭いことから、物件の収益性などによっては、キャピタルゲイン(売却益)を狙った不動産投資に活用できる可能性もあります。
インカムゲイン(賃料収入など)を狙うことだけが不動産投資ではありませんから、こういった考え方で築古アパートを購入するのも1つの手でしょう。
築年数が経過したアパートで行う不動産投資のデメリットは?
一方で、築年数が経過したアパートで行う不動産投資には、以下のようなデメリットもあるため、事前に把握しておきましょう。
- アパートローンを利用しづらい
- 購入後に重大な瑕疵が見つかる可能性がある
- 退去者が出ると経営が苦しくなりやすい
- 修繕費用がかかりやす
アパートローンを利用しづらい
築年数が経過したアパートは、担保としての評価が低いため、アパートローンを利用するのに苦労しやすいです。
具体的には、融資可能額、融資期間、金利といった条件が自身の希望を満たせず、なかなかアパートを購入できないという状況に陥るケースがあります。
また、アパートローンを利用しづらいことに関しては、売却時にも影響が出ることがあります。
なぜなら、買主がアパートローンの審査に通過しなければ、築古アパートの所有者である売主は、売買を成立させられず、キャピタルゲインを得ることができないからです。
購入後に重大な瑕疵が見つかる可能性がある
築年数が経過したアパートでは、前所有者も把握していないような重大な瑕疵が購入後に見つかるケースもあります。
よって、購入時には、売買契約書における契約不適合責任の範囲、条件等を細かくチェックし、適宜売主と交渉しなければいけません。
ちなみに、このような売主と利益相反してしまうポイントの話し合いに関しては、なるべくトラブルが発生しないよう、不動産会社を間に挟んで行うようにしましょう。
退去者が出ると経営が苦しくなりやすい
築年数が経過したアパートがオーナーチェンジ物件の場合、購入時のシミュレーションがしやすいという話をしました。
しかし、購入後すぐ多くの退去者が出てしまうと、経営は途端に苦しくなってしまいます。
なぜなら、老朽化が激しいアパートを魅力的に感じ、新たな入居者が集まることは考えにくいからです。
また、退去者が長年入居していた場合、賃料設定が数十年前から変わっていない可能性があります。
よって、同じ賃料での入居者募集が難しくなり、もし入居率を回復させることができたとしても、以前より賃料収入の総額は減ってしまう可能性が高いです。
修繕費用がかかりやすい
築年数が経過したアパートは、当然ながら新築や築浅に比べて、修繕費用がかかりやすくなります。
よって、物件価格自体は割安であっても、ある程度自己資金がなければ、安定した経営を行うのは難しいです。
また、オーナーチェンジ物件の築古アパートでは、購入時、入居者がいる部屋の状況を確認することができません。
そのため、現在の賃貸ニーズと合っていない設備が付帯していることもあり、その場合は退去者が出るたびに、古い設備を交換する必要が出てきます。
つまり、すべての部屋が埋まっている場合、部屋の数だけ設備の交換費用がかかる可能性もあるということです。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- 築年数が経過したアパートはグロス利回りが高い
- オーナーチェンジ物件の築古アパートは、購入時のシミュレーションがしやすい
- 築古アパートは担保評価が低く、アパートローンを利用しづらい
- 築古アパートを購入後、すぐに退去者が出ると、入居率を回復させるのに苦労する
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!