投資用不動産を購入する際、投資家の方はまず大きな決断をしなければいけません。
それが、新築物件を購入するのか、中古物件を購入するのかという決断です。
ここからは、新築マンションで行う不動産投資のメリットや注意点と併せて、“新築プレミアム”についても詳しく解説します。
不動産投資を検討する上で非常に重要な記事となります。ぜひ、今後の参考にしてみてください。
この記事は約5分で読めます。
“新築”の概念について
まず、“新築”とは果たしてどのような物件を指すのかについて解説しましょう。
文字通り、新築とは新しく建築された物件のことをいいます。
具体的には、新しく建築された物件で、過去に人が居住していない物件を指しています。
ただ、1度も人が住んだことがない物件が、中古物件扱いになるケースもあります。
建築工事完了の日から起算して1年を経過した物件は、築1年を迎えたその日から中古物件として扱われます。
ちなみに、このような物件は、広告上は中古物件ではなく、“未入居物件”と表記されることが多いです。
新築マンションで行う不動産投資のメリット
新築マンションで行う不動産投資には、以下のようなメリットがあります。
- 入居者が集まりやすい
- 融資審査に通りやすい
- 修繕費がほとんどかからない
- 賃料を高めに設定できる
入居者が集まりやすい
新築マンションで行う不動産投資のメリットとしては、やはり“入居者が集まりやすい”ということが挙げられます。
日本では、“誰も居住したことがない部屋”というステータスが好まれる傾向にあり、入居者募集開始直後から、大勢の申し込みが期待できます。
また、最新の設備などが導入されているケースが多いのも、新築マンションが人気の理由です。
融資審査に通りやすい
新築マンションを建築、購入する方は、そのほとんどがアパートローンを使用しますが、新築の場合は審査に通りやすくなります。
これは、新築マンションの担保評価が、中古に比べて著しく高いことが理由です。
また、審査に通りやすいだけでなく、低金利になったり、頭金の額を減らせたりと、良い条件でアパートローンを利用できる可能性もアップします。
フルローンが認められやすいのも、新築マンションならではの特徴と言えるでしょう。
修繕費がほとんどかからない
新築マンションで行う不動産投資のメリットとしては、“修繕費がほとんどかからない”ということも挙げられます。
中古マンションの場合、購入直後に大規模修繕が必要になることも考えられますが、新築マンションにはその心配がありません。
入居者の要望により、設備を取り付けるための費用がかかることはありますが、それも大規模修繕にかかる費用と比べると微々たるものです。
賃料を高めに設定できる
新築マンションは需要が高く、なおかつ設備も豊富であるため、当然賃料は高めに設定できます。
もちろん、近隣エリアの賃料相場、競合物件をよく調査し、常識の範囲内で設定する必要はありますが、収入を得やすい物件であることは間違いありません。
新築マンションで行う不動産投資の注意点
新築マンションで行う不動産投資で注意したいのは、“取得費用の高さ”、そして“賃料の下落幅の大きさ”です。
取得費が高くなれば、当然高利回りを実現するのは難しくなりますし、融資金額が上がることによって、金利上昇リスクも高くなります。
また、最初は高い賃料を設定できるのが新築マンションですが、一度でも入居者が入れ替わると一気に賃料は下がります。
具体的には、築10~20年の間の年間賃料下落幅が0.6~0.9%程度であるのに対し、新築~築10年の間の下落幅は、約2%となっています。
これらの他にも、新築マンションで行う不動産投資では、以下の点に気を付けなければいけません。
キャッシュフローが悪化しやすい
新築マンションの購入時は、好条件でローンを借り入れやすいですが、借入額が大きくなることは事実です。
よって、収支のシミュレーションがうまくいっていないと、不動産投資を始めた直後から、手元にほとんど利益が残らず、キャッシュフローが悪化するおそれがあるため、注意しましょう。
特に、頭金を入れない“フルローン”で新築マンションを購入すると、かなりこのリスクは高くなってしまいます。
もし、仮にフルローンでの融資が可能な物件であったとしても、本当にそれが最善なのか、慎重に資金計画をした上で決定しましょう。
ちなみに、新築マンションこそあえて頭金の金額を大きくすれば、毎月のローン返済額は少なくなり、投入した頭金を回収するスピードは早くなります。
収支のシミュレーションが難しい
中古マンションと違い、新築マンションには不動産投資の実績がありません。
つまり、不動産投資を始めるにあたって、過去の賃料や入居者履歴、修繕履歴などを参考にすることはできないというわけです。
よって、月々の返済が元利均等によって一定であったとしても、お世辞にも収支シミュレーションが立てやすいとは言えず、想定通りに入居者が集まらない、想定した賃料設定では入居者が決まらないといったケースに陥る可能性は、十分にあります。
また、これから初めての不動産投資をされるという方で新築マンションの購入を検討されている方のためにご理解をいただきたいのは、毎月オーナーがマンションの管理組合に支払う管理費・修繕積立金は約5年から10年に一度のタイミングで金額が改定されます。その値上げ幅は物件によって異なりますが、5-6倍といった案が可決されることもあります。
中古マンションであれば、管理費・修繕積立が上昇した金額で収支のシュミレーションができ、また購入を検討しているマンションで、どれぐらい修繕積立金が貯まっているのかも確認できるのです。
どうしても新築マンションに投資したいというのであれば、中古よりも綿密な市場調査をした上で、購入する物件を検討しましょう。
そうしないと、購入から10年後、20年後に改定された管理費・修繕積立、毎年支払う固定資産税、設備が壊れる度に支払うエアコンや給湯器といった設備費、退去ごとに支払うお部屋の修復費用といった支払いに追われ、疲弊する未来があなたを待ち受けているかもしれません。
“新築プレミアム”について
“新築プレミアム”とは、新築マンションに人が入居した瞬間、市場価値が大きく下がることを指しています。
言い換えると、新築マンションにのみ付けられる価値をいいます。
具体的には、物件購入時に上乗せされる金額であり、新築プレミアムが付いた物件を購入することは、その分余分な取得費がかかっているとも言えます。
ただ、当然集客力は高いですし、資産価値自体は長く持続します。
また、新築プレミアム付きのマンションは、耐震性能も高いです。
中古マンションの場合、建築された年によっては、現在の耐震基準を満たしていない可能性があります。
一方、新築マンションは確実に現行の基準をクリアしているため、その点を心配する必要はありません。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- 過去に誰も入居しておらず、なおかつ築1年に満たない物件を新築という
- 新築マンションでの不動産投資では、入居者が集まりやすく、融資審査にも通りやすい
- 新築マンションは取得費用が高く、賃料の下落幅も大きいのが欠点
- 新築マンションにのみ付けられ、退去者が出ると一気に下がる価値を“新築プレミアム”という
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!