投資用不動産の中には、特定の条件を満たしていないことにより、“再建築不可物件”となっているものもあります。
では、再建築不可物件を購入して不動産投資を行うことには、一体どんなメリットがあるのでしょうか?
ここからは、再建築不可物件の概要と併せて解説したいと思います。
この記事は約5分で読めます。
再建築不可物件の概要
法律上の規制により、現在建っている建物を解体し、新たに建築することができない物件を“再建築不可物件”といいます。
また、再建築不可物件に該当するケースには、以下の3つが挙げられます。
- 前面道路が建築基準法上の道路ではない
- 接道間口が2mに達していない
- そもそも道路に囲まれていない
前面道路が建築基準法上の道路ではない
前面道路とは、その名の通り物件の前にある道路を指しています。
しかし、これが建築基準法上の道路でない場合、敷地内で建物を再建築することはできません。
また、“建築基準法上の道路”については、細かい定義がいろいろとありますが、一般的には“幅員4m以上の道路”を指すことが多いです。
つまり、前面道路の幅が4mより狭い場合は、既存の建物を解体し、建て直すことができないというわけです。
接道間口が2mに達していない
前面道路が4m以上の幅を有していたとしても、敷地の接する間口が2m以下である場合、その物件は再建築不可物件になります。
わかりやすくいうと、前面道路からの入口が細くなっていて、その幅が2mを下回る場合は、新たに建物を建てられないということです。
そもそも道路に囲まれていない
土地の中には、周囲がすべて他の敷地に囲まれているものもあります。
つまり、他人が所有する敷地や私道を通らなければ、道路に出られないような土地です。
このような物件も、上記2つの条件を満たしていないため、当然再建築不可物件となります。
再建築不可物件で行う不動産投資のメリット
続いては、数ある投資用不動産の中で、あえて再建築不可物件を選んで不動産投資をするメリットを見てきましょう。
- 初期費用を抑えられる
- 固定資産税を抑えられる
初期費用を抑えられる
再建築不可物件を購入して不動産投資を行うメリットには、まず“初期費用を抑えられる”ということが挙げられます。
これは、再建築不可物件がお世辞にも便利な物件とはいえず、一般的な物件よりも低い価格で売買されていることが理由です。
初期費用を抑えることができれば、資金回収までの期間は短縮できますし、不動産投資の利回りも良くなります。
ちなみに、建て替えができない状態でも、既存の建物さえあれば、賃貸経営などの不動産投資は十分行えます。
また、もともと建っている物件が一般的な居住用物件であっても、一戸建て賃貸であれば実施できますし、特定の範囲内であればリフォームも認められています。
固定資産税を抑えられる
再建築不可物件で行う不動産投資のメリットとしては、“固定資産税を抑えられる”ということも挙げられます。
先ほども少し触れたように、再建築不可物件は決して便利な物件、資産価値の高い物件ではありません。
よって、通常の投資用不動産と比べ、課税される固定資産税の金額は低くなっています。
不動産投資では、どれだけランニングコストを抑えられるかも重要なため、これは立派なメリットの1つと言えます。
ちなみに、再建築不可物件は、以下の税金の課税額も安くなりやすいです。
- 都市計画税
- 相続税
- 贈与税
再建築不可物件で行う不動産投資のデメリット
建て替えができなくても、十分不動産投資はできるということを知っていただきましたが、もちろん投資用不動産として購入することにはデメリットもあります。
具体的には、以下のようなデメリットです。
- 再建築ができない
- アパートローン審査に通過しにくい
- リタイアが難しい
再建築ができない
再建築不可物件で行う不動産投資のデメリットは、なんといっても“再建築できない”という点です。
例えば、賃貸経営を通常の投資用不動産で行う場合、経年劣化に伴い、躯体部分などに問題が発生したときに、建て替えを検討することができますが、再建築不可物件ではそれができません。
そのため、価格が安いからといって、かなりの築年数が経過した再建築不可物件を購入してしまうと、数年ですぐに不動産投資が困難になる可能性もあります。
アパートローン審査に通過しにくい
再建築不可物件で行う不動産投資には、“アパートローン審査に通過しにくい”というデメリットもあります。
これは、通常の投資用不動産と比べ、担保としての評価が極めて低いことが理由です。
アパートローンの返済が滞った場合、融資先の金融機関は、担保である物件を差し押さえ、競売にかけて換金します。
しかし、再建築不可物件は前述の通り、さまざまな制約がある物件のため、売却できない可能性が高いです。
つまり、金融機関にとっては、ローンの回収ができなくなるリスクが高くなるということです。
リタイアが難しい
再建築不可物件で行う不動産投資のデメリットには、“リタイアが難しい”ということも挙げられます。
不動産投資をリタイアする際、オーナーは以下の3つのうち、いずれかの方法を選択します。
- そのまま売却
- 更地にして売却
- 居住用不動産として使用する
しかし、何度も言うように、再建築不可物件はそのままの状態ではなかなか売れません。
また、一般の投資用不動産の場合、建物を解体して更地にすれば、ある程度投資家の買い手が集まる可能性がありますが、再建築不可物件ではそれも期待できません。
なぜなら、そこに新しい建物を建て、不動産投資をすることはできないからです。
ちなみに、一向に買い手が見つからない場合、そのままオーナーが居住用不動産として使用するという選択肢もありますが、再建築不可物件の老朽化が激しい場合、これも得策ではありません。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントには以下になります。
- 建築基準法上の道路に接していない、もしくは接道間口が狭い物件は再建築不可物件になる
- 再建築不可物件でも建物が残っていれば、不動産投資はできる
- 今ある建物を解体し、新たな投資用不動産にすることは原則認められていない
- 担保評価が低いため、アパートローンの審査には通りにくい
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!