投資用不動産の入居者募集を行う際、多くのオーナーは管理会社に依頼し、不動産広告を出してもらうことになります。
また、オーナー自身がその内容をチェックしたり、管理会社を介さずに広告を出したりすることも可能ですが、その際にはさまざまなルールを遵守しなければいけません。
今回はその内容の一部を解説します。
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【必見】オーナーが注意したい不動産広告のルール7選
投資用不動産のオーナーは、管理会社に不動産広告を出してもらう際、あるいは自身で広告を作成する際、“不動産の公正競争規約”に基づいた表記になっているかを確認しなければいけません。
不動産の公正競争規約とは、不動産業界が自主的に定める、不当景品類および不当表示防止法の規定に基づき、公正取引委員会の認定を受けたルールを指しています。
簡単にいうと、不動産広告に関する約束事であり、こちらの内容に反する広告を出すことは認められていません。
遵守しなければいけないルールとしては、主に以下のような項目が挙げられます。
- 新築の表記について
- リフォームの有無に関する表記について
- 賃料値下げの表記について
- 所要時間の表記について
- 記載可能な表現について
- 間取りの表記について
- 部屋面積の表記について
新築の表記について
新しく投資用不動産を建築したオーナーや、建築されて間もない中古物件を購入したオーナーは、入居者に“新築”ということを強くアピールし、空室を埋めたいと考えるでしょう。
しかし、これまで一度も入居者がついたことがなく、なおかつ非常に綺麗な物件であっても、築年数が1年以上経過している場合は、不動産広告に“新築”の表記ができませんので、注意してください。
ちなみに、築年数1年未満でも、過去に一度でも入居者がついたことのある物件は、同じように新築表記ができません。
リフォームの有無に関する表記について
不動産投資を行うオーナーの中には、リフォーム済物件であることをアピールし、入居者付けを目指す方もいるでしょう。
ただし、この場合は曖昧な表記ではなく、必ずリフォームを行った時期と内容を不動産広告に記載しなければいけません。
例えば、令和元年にリフォームをした場合は、“令和元年 〇月 リフォーム済(床・キッチン・トイレ)”といった文言を不動産広告に記載します。
ちなみに、“内装リフォーム済”、“フルリフォーム”といった表記は認められていません。
室内全体をリフォームした場合でも、必ず具体的にどこのリフォームを行ったのか記載する必要があります。
賃料値下げの表記について
賃料を値下げしたことを入居者にアピールし、空室を埋めたいというオーナーは、“二重価格表示”に注意しましょう。
こちらは、以前と現在の賃料を記載することであり、具体的には「賃料80,000円から70,000円に値下げ」といった表記を指します。
こちらは、不動産広告において禁止されているため、賃料の値下げをアピールしたい場合は、「賃料を値下げしました」「新賃料70,000円」という記載にとどめておかなければいけません。
所要時間の表記について
不動産広告には、投資用不動産における駅までの所要時間を記載するオーナーも多いかと思いますが、このときは徒歩1分=80mとして計算しましょう。
また、所要時間は直線距離ではなく、道路に沿って測定した距離(道路距離)を基にし、80m未満の端数が出た場合には、切り上げて1分にします。
つまり、投資用不動産から駅までの道路距離が100mの場合、不動産広告のルール上、徒歩での所要時間は2分ということになります。
記載可能な表現について
一般的な商品の広告ではよく見られるものの、こと不動産広告に関しては、記載してはいけないという表現がいくつかあります。
例えば、客観的な根拠がない場合、以下のような表現を記載してはいけません。
- No.1
- 唯一無二
- 完全
- 絶対
- 最高
- 当社だけ
- 格安
- 完売 など
ただし、客観的かつ信憑性の高いデータ、合理的な根拠などがある場合は、上記の表現を用いても構いません。
間取りの表記について
不動産広告に記載する物件の間取りは、建築確認時に“居室”として認められた部屋のみをカウントして記載します。
具体的には、LDK(リビングダイニングキッチン)、DK(ダイニングキッチン)、K(キッチン)などが挙げられます。
一方で、居室として使用できるほど広いスペースがあったとしても、こちらは部屋数にカウントして記載することができませんので、注意してください。
例えば、納戸などは各居室と同じくらい広い可能性がありますが、こちらは採光や換気のための窓がなかったり、床面積に対する開口部の面積が不十分だったりすることから、居室としては認められていません。
また、間取りに記載する際には、必ず“〇LDK+納戸(サービスルーム)”といった表記にし、居室でないことを明確にする必要があります。
部屋面積の表記について
投資用不動産のオーナーの中には、不動産広告に記載する部屋面積について、おおよその面積で表記しても良いと考えている方もいるかもしれませんが、場合によってはこちらもルール違反となります。
例えば、実際の部屋面積は22.8㎡であるにも関わらず、不動産広告に23㎡と記載することは認められていません。
こちらは、実際のものよりも良く見えるようにすることで、閲覧者に誤解を与える“不当表示”に該当するからです。
一方で、上記の物件でいうと、22.8㎡を22㎡と表記することに関しては、実際よりも良く見えるようにする行為ではないため、認められています。
ちなみに、これらのルールに関しては、部屋面積だけでなく、賃料や所要時間にも同じことが言えます。
賃料81,000円の物件において、80,000円と表記することや、駅までの所要時間が6.5分の物件で、徒歩6分と記載することなどは、不当表示にあたります。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- “新築”と記載して良いのは、入居履歴がなく、築年数が1年未満の物件のみ
- 賃料値下げの記載をする際は、“二重価格表示”に注意すべき
- 所要時間は直線距離ではなく、道路に沿って測定した距離(道路距離)を基に計算する
- 部屋面積や賃料、所要時間は、少しでも実際より良く見えるように記載してはいけない
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!