投資用不動産の物件情報を閲覧していると、時折“借地権付き物件”を目にすることがあります。
こちらは、一般的な投資用不動産とは一線を画すものであり、購入する場合は事前に特徴を掴んでおかなければいけません。
今回は、借地権付き物件で行う不動産投資のメリットを中心に解説したいと思います。
この記事は約5分で読めます。
借地権付き物件の概要
他人から借りた土地の上に建物を建築できる権利を“借地権”といい、こちらが設定されている物件を“借地権付き物件”といいます。
また、借地権には、主に以下のような種類があり、どれが設定されているかによって、契約の存続期間などには違いが出てきます。
- 旧借地権
- 普通借地権
- 定期借地権
旧借地権
借地借家法ではなく、前身の“借地法”を基にした借地権を“旧借地権”といいます。
1992年8月以前に借りた土地には、こちらの借地権が設定されていて、存続期間は建物が木造の場合で最低30年、鉄筋コンクリート造などの場合で最低60年となっています。
また、こちらの期間が満了した場合、契約を更新すれば、継続して土地を借り続けることができます。
普通借地権
1992年8月以降に借りた土地は、現行の借地借家法を元にした“普通借地権”が設定されていることが多いです。
こちらの借地権の存続期間には、建物の構造による違いがなく、いずれも30年となっています。
また、1回目の契約更新では、存続期間が20年延長され、2回目以降は10年延長されます。
定期借地権
土地を借りる期間が一定になっている借地権を“定期借地権”といいます。
ポピュラーなものは“一般定期借地権”というもので、こちらは存続期間が50年と比較的長いものの、契約を更新することはできません。
よって、契約から50年を超えた時点で、借地権者は地主に土地を返還することになります。
ちなみに、このとき土地上の建物に関しては、取り壊さなければいけません。
借地権付き物件で行う不動産投資のメリット
借地権付き物件で行う不動産投資には、主に以下のようなメリットがあります。
- イニシャルコストが安い
- 利回りが高い
- 税負担が軽い
- 実質自身の土地のように利用できる
イニシャルコストが安い
借地権付き物件は、通常の投資用不動産よりも安く販売されているケースが多いです。
場合によっては、同じ規模やエリアの借地権がない物件よりも、3~4割ほど安く購入できることもあります。
よって、イニシャルコストを節約したい方からすれば、非常にありがたい物件だと言えます。
利回りが高い
たとえ、借地権付き物件であっても、不動産投資によって得られる賃料は、通常の投資用不動産と変わりありません。
借地権付き物件であることは特に加味されず、エリアや築年数といった要因から賃料が設定されます。
また、前述の通り、借地権付き物件はイニシャルコストを抑えて購入することが可能であるため、立地や築年数などの条件が同じである場合、所有権のある通常の投資用不動産よりも、借地権付き物件の方が高い利回りを達成できることになります。
税負担が軽い
投資用不動産を所有する場合、通常は所有者であるオーナーが固定資産税、都市計画税といった税金を支払わなければいけません。
一方、借地権付き物件は、あくまで地主から借りている物件であるため、そこで不動産投資をしていたとしても、オーナーは上記の税金を支払わずに済みます。
また、こちらの税金を納める必要がないことにより、不動産投資のキャッシュフローもある程度良くなることが期待できます。
実質自身の土地のように利用できる
何度も言うように、借地権付き物件は地主から借りている土地であるため、不動産投資を行うオーナーが土地の所有権を得ることはできません。
しかし、借地権は基本的に存続期間が長く、種類によっては契約を更新することで、半永久的に借り続けることができます。
つまり、実際は所有権を持つことができない土地とはいえ、実質自身の土地のように、納得いくまで利用し続けることができるというわけです。
借地権付き物件で行う不動産投資のデメリット
一方、借地権付き物件で行う不動産投資には、以下のようなデメリットもあります。
必ずメリットと併せて把握しておきましょう。
- 借入がしにくい
- 出口戦略を立てるのが難しい
- 売却時、増改築時の制限がある
- 地代を支払う必要がある
借入がしにくい
投資用不動産の購入時、ほとんどの方は金融機関から借入を行います。
しかし、借地権付き物件にはさまざまな制限が存在することから、借入時の担保評価がお世辞にも高いとは言えません。
よって、十分な資金調達ができない可能性があります。
出口戦略を立てるのが難しい
借地権付き物件は、通常の投資用不動産と比べて流動性が低く、融資も受けにくいことから、なかなか売却できないことも多いです。
そのため、オーナーの思い描いたタイミングで不動産投資をリタイアしたい場合、できるだけ早めに出口戦略を立てておく必要があります。
売却時、増改築時の制限がある
借地権付き物件において、建物の売却や増改築を行う場合、必ず地主の許可を取らなければいけません。
また、地主の許可をもらうためには、承諾料を支払わなければいけないこともあります。
こちらは、通常の投資用不動産では発生しない支出の1つです。
地代を支払う必要がある
借地権付き物件は、あくまで地主に借りている土地であるため、そこで不動産投資をする以上は、地代を払い続けなければいけません。
つまり、運用利回りは通常の投資用不動産より高いものの、手元に残る利益は、賃料収入から地代を差し引かれたものとなるため、実際はあまり変わらない可能性があるということです。
ちなみに、1年の地代金額の相場に関しては、その土地の更地価格の6%程度とされています。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- 旧借地権、普通借地権、定期借地権のいずれかが設定された土地を“借地権付き物件”という
- 借地権付き物件はイニシャルコストが低く、税負担も軽い
- 借地権付き物件は契約期間が長いため、借主が自身の土地のように利用できる
- 借入や売却、増改築などで不利になりやすいのが借地権付き物件の欠点
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!