不動産投資をする方は、民法や宅建業法、不動産登記法や建築基準法など、あらゆる法律について、少しでも多く知識を持っておきたいところです。
また、サブリース契約を検討している場合は、“借地借家法”に関しても、十分勉強すべきです。
そこでこの記事では、借地借家法に関する質問について、Q&A方式で解説します。
この記事は約5分で読めます。
Q.借地借家法における定期借家契約について
例えば、期間3年の定期借家契約を締結した場合、その後さらに定期借家契約を結ぶためには、ます期間が満了する1年~6ヶ月の間に借主に通知します。その後、期間満了によって一度契約を終了させた後、新たに定期借家契約を結ぶという形を取ります。これは契約の更新ではなく、あくまで新たに結ばれる別の契約です。また、この場合、最初の契約時に連帯保証人となった肩の責任は、最初の契約期間中に発生した借主の債務についてのみ発生します。新しく契約された定期借家契約の期間中に発生した債務に関しては、一切責任を負いません。ただし、期間3年の定期借家契約を結んだ後、新たに定期借家契約を結んでいないにも関わらず、借主が建物を使用し続けた場合、連帯保証人が責任を負うケースがあります。
具体的には、貸主が通知期間内に終了通知をした場合、連帯保証人は借主の不法占拠に対する対価(使用損害金)を支払わなければいけません。
ちなみに、普通借家契約の場合、最初の契約時に連帯保証人になった方は、契約更新の際に連帯保証人にならなかったとしても、更新時に発生した借主の債務について、責任を負うこととされています。これは、定期借家契約が“再契約”であるのに対し、普通借家契約が“契約更新”という形を取っていることが理由です。
Q.普通借家契約の引き継ぎについて
例えば、建物を所有する方とA社で、アパート全体を対象として10年の定期借家契約を結び、その後A社が第三者に転貸借(サブリース)契約をしたとします。
このとき、A社が経営不振に伴う倒産などにより、その立場をリタイアした場合、貸主(建物を所有する方)は、転貸人(A社)と転借人(第三者)の普通借家契約を引き継ぐのでしょうか?
転貸人が倒産した場合は、転貸人から貸主に対する賃料の不払いが発生する可能性が高いです。そのため、貸主は転貸人との定期借家契約を解除できます。また、この場合貸主は、転貸人と転借人のサブリース契約を引き継ぎません。貸主は転借人に対し、建物を明け渡すか、あるいは貸主の設定した条件で賃貸借契約を結ぶかの選択を迫ることができます。ちなみに、転貸人は倒産しているものの、賃料の不払いなどの契約違反行為がまだ確認されていない場合に、貸主と転貸人が定期借家を合意解約すると、転貸人が抜け、貸主と転借人との間に直接的な賃貸借関係が成立します。
ただし、転貸人が倒産したことを把握している場合、貸主は賃料未納などのトラブルが発生する前に、できる限り早めに転貸人との契約を解除しておくことをおすすめします。
Q.定期借家契約の中途解約について
中途解約の特約があらかじめ定められている場合は、借主はその特約に従い、定期借家契約を中途解約できます。これは、そのために設けられた特約ですから、権利を行使できるのは当然です。また、特約が設けられていない場合であっても、以下の条件をクリアすれば、借主は定期借家契約の中途解約が可能です。・居住用建物(床面積200㎡未満)の定期借家契約であること
・借主が転勤や療養、親族の介護、その他のやむを得ない事情により、自宅としての使用が難しくなったこと
・中途解約申し入れの日から、1ヶ月を経過していること“特約がなければ中途解約できない”と考えている方も多いので、影響を受ける貸主は特に、勘違いしないよう注意しましょう。
Q.定期借家契約終了の通知について
期間が1年を超える定期借家契約の場合、貸主は期間満了の1年~6ヶ月前までの間に、借主に対して契約終了の旨を通知しなければいけません。また、この通知をしなければ、通知から6ヶ月を経過しない限り、貸主は定期借家契約を終了させることができません。つまり、通知をうっかり忘れると、貸主の計画が大きく狂う可能性があるということです。
Q.定期借家契約の際に作成する説明書について
定期借家契約を結ぶ際、貸主は“賃貸借契約の更新がなく、期間満了によって賃貸借は終了する”という旨が記載された説明書を2通作成します。そして、そのうちの1通を借主に渡し、もう1通は説明を受けたことを証明する貸主の署名押印をもらって、貸主自身が保管します。こちらの説明に関しては、定期借家契約を結ぶ前に行わなければいけません。また、定期借家権である旨の説明は、取引主任者が貸主の代理として行っても問題ありません。
ちなみに、貸主が定期借家契約を結ぶには、他にも次の条件をクリアする必要があります。
・公正証書(契約の成立や一定の事項について、公証人が書証として作成し、内容を証明する書類)、その他の書面によって契約をすること(書面であれば、公正証書でなくても構わない)
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- 連帯保証人は新たに契約された定期借家契約の責任を負わない
- 転貸人が倒産しても、貸主は基本的に転借人との契約を引き継がない
- 定期借家契約の場合、借主は特約があってもなくても中途解約できる
- 貸主が定期借家契約を終了させる場合は、あらかじめ通知が必要
- 定期借家契約の際、貸主はその旨を記載した説明書を作成する
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!