投資用不動産を売買する際には、“ホームインスペクション”が実施されることがあります。
これは、売買される物件を対象に行われるものであり、今後不動産投資を始める方、リタイアする方は触れる機会があるかもしれません。
今回は、ホームインスペクションの概要や実施費用を含めたメリット、デメリットについて解説します。
この記事は約5分で読めます。
ホームインスペクションの概要
住宅に精通した住宅診断士が、中立的な立場から投資用不動産の劣化状況、欠陥の有無、修繕すべき箇所やそのタイミング、おおよその費用などを算出し、アドバイスすることを“ホームインスペクション”といいます。
住宅診断士は、基本的には目視で物件の屋根や外壁、室内や床下などの劣化状況をチェックします。
欧米では、以前から一般的なものとして広く認知されていて、近年は日本の不動産売買においても、実施される機会が増加しています。
ホームインスペクションのメリット
では、投資用不動産の売買時におけるホームインスペクションには、どのようなメリットがあるのかを見てみましょう。
具体的には、以下が挙げられます。
- 双方が安心して売買できる
- 価格が妥当かどうかを判断できる
- 売買後のトラブルを防ぐことができる
双方が安心して売買できる
投資用不動産の売買時、ホームインスペクションを実施すれば、売主と買主の双方が安心して売買できます。
これはもちろん、住宅診断のプロが隅々まで物件を調べ上げ、問題があるかどうかを確認した上で売買されるからです。
価格が妥当かどうかを判断できる
ホームインスペクションが実施されることで、投資用不動産の買主は、売却価格が妥当かどうかを判断できます。
これは、住宅診断士のチェックにより、購入後どれくらいの修繕費用が必要か把握できるからです。
例えば、修繕費用が高額な投資用不動産の場合、一般的な価格相場から修繕費用を差し引いた金額で売り出されていなければ、適正ではないと判断できます。
売買後のトラブルを防ぐことができる
ホームインスペクションを実施した投資用不動産は、その調査内容が売買契約書に記載されます。
また、その内容について買主が了承していれば、売主は契約不適合責任を負うことがありません。
つまり、きちんと記載さえしていれば、売買後に買主と売主が揉める心配は少ないということです。
ホームインスペクションのデメリット
一方で、投資用不動産の売買時におけるホームインスペクションには、以下のようなデメリットもあります。
- 絶対に欠陥がないわけではない
- コスト、時間がかかる
- 値下げ交渉をされる場合がある
絶対に欠陥がないわけではない
何度も言うように、ホームインスペクションを実施するのは、住宅に精通した住宅診断士です。
しかし、ホームインスペクションを行ったからといって、必ずすべての欠陥が見つかるとは限りません。
目視による調査には限界がありますし、担当者によってチェックの精度にはある程度バラつきがあるため、その点は留意しておきましょう。
コスト、時間がかかる
ホームインスペクションを実施するには、2週間程度の時間を要します。
また、調査の内容や範囲によっては、高額なコストがかかる可能性もあるため、なるべく早く売却・購入したい方、費用をかけたくない方にはあまり向いていません。
値下げ交渉をされる場合がある
ホームインスペクションを実施し、何かしらの欠陥が見つかった場合、買主から値下げ交渉をされる可能性があります。
これは売主にとって、デメリットの1つと言えるでしょう。
また、補修するのが困難な箇所が見つかったり、高額な修繕費がかかる箇所を発見したりした場合は、なかなか買い手が付かないことも考えられます。
ホームインスペクションの実施費用を支払うのは買主?売主?
投資用不動産におけるホームインスペクションの実施費用は、購入希望者つまり買主が支払うケースが一般的です。
なぜなら、購入希望者の方から、「ホームインスペクションを実施してほしい」という要望があり、実施されるケースがほとんどだからです。
ホームインスペクションの実施金額の相場としては、目視確認なら5~6万円、機材を使用し耐震診断などの詳細診断をする場合、費用が10万円以上になる可能性もあります。
ちなみに、個人と個人ではなく、個人と不動産会社の売買では、どちらが買主か売主かにかかわらず、不動産会社がホームインスペクションの実施費用を負担してくれる場合があります。
ホームインスペクションの依頼、当日の流れ
投資用不動産のホームインスペクションは、買主から要望を受けた売主が実施手続きをするケースが多いです。
ホームインスペクション会社に依頼する際の流れは以下の通りです。
- ホームインスペクション会社に見積もり、日程を問い合わせる
- 日程を調整する
- 申し込みをする
日程調整に関しては、できる限り素早く行うことをおすすめします。
早めに日程を調整し、ホームインスペクションを実施しなければ、売買成立までの期間は必然的に長くなってしまいます。
また、ホームインスペクション会社に依頼する際には、必ず担当者の氏名と保有する資格をチェックしておきましょう。
建築士の資格を持っていない担当者の場合、調査の際の見落としが多くなる可能性があるため、注意してください。
そして、当日は一般的に以下のような流れで、ホームインスペクションが実施されます。
- 待ち合わせ
- 立ち会い者との挨拶
- 調査の流れの説明
- 調査開始
- 調査完了(簡単な調査内容、調査結果の報告)
ホームインスペクションが実施された後は、その場でおおまかな調査結果について説明があることが多いです。
ただ、報告書に関しては、住宅診断士が帰社してから作成されるため、受け取るまでに数日~数週間かかることがあります。
もし、投資用不動産の売買を急いでいるのであれば、最初の問い合わせの段階で、どれくらいの日数がかかるのかについて質問しておきましょう。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- 住宅診断士が投資用不動産の劣化状況などについてアドバイスすることを“ホームインスペクション”という
- 双方が安心して取引でき、売買後のトラブル発生も防いでくれるのがメリット
- コストや時間がかかること、必ず欠陥が見つかるわけではないのがデメリット
- ホームインスペクションの実施費用は買主が支払うのが一般的
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!