一般的な不動産投資の場合、オーナーは自身が運営する投資用不動産とは別に居住用不動産を構え、そこで生活します。
一方で、中には所有する投資用不動産にオーナー自身が住みながら、なおかつ経営も行うというスタイルを確立する方もいます。
今回は、このようなスタイルのメリットやデメリットを中心に解説します。
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投資用不動産にはオーナー自身が住むことも可能
読んで字のごとく、投資用不動産は投資目的で使用する物件のことをいい、居住用不動産は居住目的の物件を指します。
ただ、“賃貸併用住宅”という形にすれば、オーナーは自身が持つ投資用不動産に住むことができます。
これは、居住スペースと賃貸スペースが共存する物件であり、1階部分がオーナーの自宅、2階以上が賃貸物件になっているようなケースがよく見られます。
投資用不動産にオーナーが住むことのメリット
では、投資用不動産にオーナーが住むスタイルのメリットには、一体どのようなことが挙げられるのでしょうか?
具体的には、以下の通りです。
- ローンの負担を減らせる
- 相続税対策になる
- 固定資産税が安くなる
- 住宅ローンを利用できる
ローンの負担を減らせる
オーナーが投資用不動産に住むことで、ローンの負担はある程度軽減されます。
ここでいうローンとは、アパートローンではなく住宅ローンのことを指します。
つまり、居住用不動産を購入するために組んだ住宅ローンの返済に、不動産投資で得た賃料収入を充てられるというわけです。
もちろん、空室が埋まっていることは前提の話ですが、多少高めの物件を購入しても、賃貸併用であればローン返済に困る可能性は低くなるでしょう。
相続税対策になる
オーナーが住むスタイルで不動産投資を行うことは、相続税対策にも繋がります。
なぜなら、このような形の物件は、オーナーの居住スペースと賃貸スペースの相続税評価額をそれぞれ分けて算出するからです。
もっと具体的にいうと、居住用不動産(土地、建物)、投資用不動産(土地、建物)の評価額は、後者の方が3割ほど低くなるため、居住用不動産のみにかかる相続税よりも、課税金額が安くなるという仕組みです。
固定資産税が安くなる
投資用不動産にオーナーが住むことで、固定資産税も安くなります。
これは、居住スペースに対し、小規模宅地の軽減措置が適用されることが理由です。
具体的には、1戸あたり200㎡までであれば、その居住スペースは小規模宅地と見なされ、固定資産税の課税額は一気に通常の1/6にまで下がります。
固定資産税は、所有物件にかかる大きなランニングコストの1つであるため、これが軽減されるのは大きなメリットと言えるでしょう。
住宅ローンを利用できる
投資用不動産は、住宅ローンを利用して購入することができません。
なぜなら、住宅ローンは居住用不動産が対象のローン商品だからです。
ただ、賃貸併用住宅は、一部に居住スペースがあるため、住宅ローンを利用して購入できます。
もっといえば、住宅ローンはアパートローンよりも審査の難易度が低い傾向にあるため、不動産投資の実績がない方などでも、安心して利用できます。
投資用不動産にオーナーが住むことのデメリット
投資用不動産にオーナーが住むことで、経済的なメリットが数多く生まれることは、理解していただけたかと思います。
しかし、当然デメリットもあるため、あらかじめ留意しておきましょう。
主なデメリットとしては、以下のことが挙げられます。
- 利回りが下がる
- 売却に苦戦しやすい
- 投資規模を拡大しにくい
- 入居者に敬遠される場合がある
利回りが下がる
投資用不動産にオーナーが住むと、住まない場合に比べて利回りが低くなってしまいます。
これはもちろん、オーナーの居住スペースがある分、賃料を最大化できないことが理由です。
例えば、戸数が10の投資用不動産と、戸数9+オーナーが住む部屋で構成されている物件とでは、後者の方が賃貸収入は少なくなりますし、これが年単位になると大きな違いとなって表れます。
また、先ほど賃貸併用住宅では住宅ローンを利用できるという話をしましたが、物件の半分をオーナーの自宅にしなければ、これは適応されません。
売却に苦戦しやすい
オーナーが投資用不動産に住むと、将来不動産投資をリタイアする際、売却に苦戦しやすくなります。
なぜなら、「賃貸併用住宅を買いたい」と考える方は、ごくわずかしかいないからです。
もちろん、まったく需要がないというわけではありませんが、居住用スペースのみの物件、投資用不動産と比べると、明らかにターゲットが減少するのは事実です。
また、居住スペースと賃貸スペースに分かれている物件をリフォームするには、かなり高額な費用がかかるでしょう。
投資規模を拡大しにくい
オーナーが投資用不動産に住むと、投資規模を拡大しにくくなる可能性があります。
投資専門の物件において、不動産投資の実績をある程度持っていれば、投資規模拡大の際のアパートローン審査に通過しやすくなります。
一方、前述の通り、賃貸併用住宅は利回りが下がりやすいですし、購入の際に住宅ローンを借り入れているケースも多いです。
この場合、金融機関からは、“住宅ローンが残っていて、なおかつ利回りの低い物件で投資している投資家”という目で見られてしまうため、どうしても投資規模拡大の足かせになってしまいます。
入居者に敬遠される場合がある
オーナーが住んでいる投資用不動産は、“安全性が高い”、“直接オーナーと話ができる”といった理由から、入居者に支持されることもあります。
しかし、その反面、「すぐ近くにオーナーがいるのは落ち着かない」「すぐに怒られそうで怖い」と考える方も多く、このような方々からは敬遠されてしまいます。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- “賃貸併用住宅”にすれば、オーナーが投資用不動産に居住することも可能
- オーナーが投資用不動産に住めば、ローンや相続税、固定資産税などの負担を減らせる
- 投資用不動産にオーナーが住むと貸し出せる戸数が減り、必然的に利回りは下がる
- 居住用不動産、投資用不動産と比べて需要が少ない賃貸併用住宅は、売却が難しい
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!