サブリース契約が解約できない!?絶対に知るべき事例とデメリットとは?

サブリース契約

昨今、賃貸物件の経営でサブリースという家賃保証を利用している人が増えています。

しかし、それに伴い問題が起こることも多く、不安に思っているオーナーもいるのではないでしょうか?

サブリースとはどのような仕組みでしょうか?そしてサブリース契約が解除できないとは、どのような問題が起こっているのでしょうか?

この記事ではサブリースの事例とともに、デメリットを掘り下げ解説していきます。

この記事は約10分で読めます。

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サブリースとは?

サブリース契約とは?

広告やCMで、賃貸住宅を対象にして「一括借り上げ・家賃保証」といったものを見た事があるでしょうか?
近年増えているこれが、サブリースです。

アパートや賃貸住宅を経営している人にとって、恐ろしいのが「空室の増加」です。

既に初期投資を回収している状態ならまだしも、20-30代で35年ローンを組んだオーナーなどにとっては回収が終わっていない状態の空室は絶対に避けたいものです。

 

そこで、注目されるのが“サブリース”です。

これは、“企業でその賃貸住宅を一括で借り上げ、その代わりに何年かの家賃を補償する”というものです。

サブリースは、以下のような仕組みになっています。

賃貸住宅の管理や必要な手続き、賃料の回収などは企業が行います。

そして、オーナーには借り上げの際の契約に基づいて、リース料が支払われるのです。

もちろん、賃料は自分で管理している時に比べて少なくなってしまいます。

 

メリットとしては、ほぼ確実に一定の収入を得られるという点です。

賃貸住宅は、空室の有無によって収入が大きく変動します。

それがなく、安定して収入を得られるというのは大きなメリットでしょう。

 

また、管理を任せることができるというのもメリットです。

特に、オーナーが会社員も兼業している場合などは、自分で管理するのが困難です。

それを代わりにやってくれて、手続きなども任せることができるので、楽に経営できるのです。

 

しかし、デメリットもあります。

それは、想定される最大の収入を得られないということです。

補償される家賃は最大額より少ないので、それは当然でしょう。

 

例えば、その賃貸住宅があるエリアの人気が高くなり、満室の状態が何年も続いたとします。

それでも、収入は契約の通りになるので、差額が大きくなってしまうのです。

 

リース料は、本来の家賃の8割から9割が相場です。

そこから、管理料を差し引いた金額が、オーナーに支払われるのです。

残った1割から2割が、企業の収入となるのです。

 

つまり、管理費の他に最低1割、多ければ2割程度は収入が減ってしまうのです。

もし、空室分の家賃保証も加わった場合は、さらに1割程度は低くなることもあります。

敷金や礼金、更新料も自分ではなく企業に支払われるため、それも考えるとかなり収入が少なくなります。

 

契約期間中に、空室が多いようだと家賃を下げられることもあります。

そうなれば、さらに収入は減ってしまいます。

その差額と、管理などの手間を考えて、どちらがいいのかを検討しなくてはいけません。

 

また、サブリースは期間が決まっています。

その契約が切れた時、再び自分で経営する気持ちになれるかどうかは分かりません。

もし再契約するとしても、状況によって今までより家賃は下がってしまうでしょう。

オーナーが絶対に知るべきサブリース問題とは?

投資用不動産のオーナーが知るべきサブリース契約の問題点

では、実際にこのサブリースという仕組みによって、どのような問題が生じたのでしょうか?

様々な問題が起こったせいで、一時は社会現象にもなり、国土交通省でも規制に向けて動き始めたほどです。

 

まず、問題となったのがアパートの供給過多です。

オーナーに対して、アパートを立てれば後は一括で借り上げるから管理の手間はいらないと言ってアパートを建築させたものの、アパートに入居する人がいないせいで空室ばかりになってしまい、早々に賃料の見直しを迫られることになってしまった、という事例です。

 

これは、主にアパートメーカーによって起こされました。

そのエリアでどのくらいアパートの需要があるのか、賃貸市場はどうなっているのかを無視してアパートを立て

させた結果、入居する人がほとんどいなかった、という問題です。

 

特に、広い空き地が多い地方でこのような事態が起こっています。

土地は持っているものの使い道がない、という人をターゲットにして、固定資産税の節税にもなるからと話を持ち掛けるのです。

 

実は、サブリースというのは業者にとって確実に利益が得られる仕組みです。

建築費用はオーナー持ちで、家賃が支払われる場合はその一部を受け取るだけなので、損をすることがないのです。

そのため、業者としてはアパート(マンション)を建てさせることができればそれでいいのです。

空室が多くても、それで困ることはありません。

この業者も、入居者を増やすために家賃の値下げを提案するくらいでした。

 

続いての事例としては、レオパレス21でオーナーが100人以上集まり、集団提訴を行った時のことです。

契約内容が履行されていないことに対して、未払い賃料の返還を求めました。

内容としては、家具の交換がなされていないというものです。

契約では、新築してから7年もしくは14年で、家具は新しいものに交換されることになっていました。

しかし、その交換がされていなかったのです。

家具はリースで、オーナーは1戸につき2,000円のリース料を支払っています。

しかし、契約とは違って交換されなかったのに、リース料がサブリース賃料から差し引かれていたのです。

契約で定められた期間が過ぎたなら、当然交換しなくてはいけません。

しかし、レオパレス21ではそのことに対して、確かに新品と交換はしていないものの、きちんとメンテナンスはしているので問題はない、とコメントしたのです。

それを理由に、賃料の返還には応じないという回答が出されました。

この裁判は、2016年に提訴されて2019年に判決が出ました。

入居者がいると交換が難しく、月額2,000円は保守業務も含めた対価となるため、義務は果たしているものとする、ということでオーナー側が敗訴となって決着しました。

 

また、同じくレオパレス21が提訴されたのが、サブリース賃料の見直しについてです。

契約時の内容では、新築から10年は家賃収入が固定となるはずだったのに、6年後には減額されたということです。

この件では、レオパレス21側が賃料の値下げについて、交渉に訪れていました。

その際に、オーナー側は一度断ったものの、レオパレス21は再度交渉に訪れ、同意しています。

しかし、その合意に至った経緯に問題があったとして、訴訟に至ったのです。

問題とされたのは、契約書にあった10年後の減額賃料表の「通常改定」という部分です。

これについて、レオパレス21側がどのような説明をしたのかが分かりませんが、オーナー側ではこれを、今同意しなければ10年後には大幅に減額されると認識しました。

この件は、2017年2月に提訴されて2020年2月まで続きました。

誤解されるような表記をしたレオパレス21側が悪いということで、オーナー側が勝訴となって差額を返還することになりました。

 

シェアハウスのサブリースでも、問題がありました。

スマートデイズ社という所で、サブリース賃料の支払いが停止してしまったのです。

ここは、サブリースや新築シェアハウスの企画販売を手掛ける、新興デベロッパーでした。

そこでは女性専用のシェアハウスを運営したのですが、部屋数を増やしたいがために共用部分のリビングをなくしてしまいました。

そのことで、シェアハウス専門のポータルサイトへの掲載条件から外れてしまい、入居者の確保に苦労することとなったのです。

 

今や、ポータルサイトは不動産探しのマストアイテムです。

そこに掲載できないとなると、苦労するのは必然であり、掲載されていないということは何かしらの問題があると判断されるのも当然です。

こんな基本的なことを見逃したばかりに、計画したような賃料を回収できなくなりました。

そのせいで、不足した分を物件の販売による収益から補填する事となったのです。

 

また、その当時は相続対策や海外からの投資、サラリーマン投資家が増えたことで不動産投資が増えたことを危惧して、金融庁が融資の引き締めを各金融機関に通達しました。

そのせいで、物件販売も伸び悩んでいたのです。

また、このシェアハウスは「かぼちゃの馬車」というブランド名が付けられていました。
聞き覚えがある方もいるかもしれませんが、駿河銀行が高金利での融資を行い、その審査でも不正があったと発覚した事件です。

 

その結果、オーナーは家賃収入も得られず、銀行ローンの返済ができない状態となりました。

強引な販売手法と不正な融資があったということで、この事件は当該のシェアハウスとその土地を駿河銀行に物納することを条件に、借金を帳消しにするということで決着しました。

 

この他にも、不動産会社の現役社員によるサブリースの実態も話題となりました。

強引な契約や建物管理のずさんさ、営業社員に対する高額な歩合給の裏側にある、失敗した社員への過酷な対応などが明らかになったのです。

サブリースと空室補償

サブリースと空室補償

最近では、サブリースに変わって空室補償も注目されています。

その補償内容は、どのような違いがあるのでしょうか?

代表的なサブリース会社と家賃保証会社それぞれの、保証内容の違いを解説します。

会社名 S社 DK社 Z社
補償形態 サブリース サブリース 空室補償
家賃見直しのタイミング 2年毎 10年間固定

それ以降は2年毎

2年毎に見直すこともある
新築時の免責期間 施工後3カ月間 施工後4カ月間 施工後3カ月間
免責期間中の家賃 S社の収入 DK社の収入 オーナーの収入
礼金・更新料 S社の収入 DK社の収入 オーナーの収入
修繕工事の義務 10年後にS社の指定する工事 10年後にDK社の指定する工事 推奨基準のみで、義務はなし
節税対策 なし なし 補償料は経費に算入できる
その他サービス なし なし 無料10年点検と入居促進サポートあり

サブリース会社は、主にアパートメーカーが行っています。

補償会社も、同一の会社かそのグループ会社です。

また、建築や補修工事も、そこで行います。

 

一方、空室補償はサブリースとは違って、一種の保険です。

そのため、補償については保険会社が行っているのです。

また、アパート経営についてはそれほど関わっていません。

 

家賃収入で比較してみると、かなりの差額が生じます。

例えば、家賃補償率85%のサブリースと、補償率90%の空室補償で、それぞれどのくらい収入に差が出るかをシミュレーションしてみましょう。

なお、1戸あたりの家賃は月10万円、20室あるマンションとして比較します。

 

まず、空室補償の場合は共益費や敷金、礼金、更新料はすべてオーナーに支払われます。

その代わり、管理費と補償料は自己負担です。

ここでは、それぞれ家賃の5%、合計10%として計算します。

 

まず、新築してから3カ月間の収入について解説します。

このとき、最初の1カ月は8戸、2カ月目は15戸、3カ月目で満室になったと仮定します。

期間 サブリース 空室補償
1ヶ月 免責期間につき、収入なし 家賃:10万円×8戸=80万円

礼金:10万円×8戸=80万円

管理料:4万円

合計:156万円

2ヶ月 免責期間につき、収入なし 家賃:10万円×15戸=150万円

礼金:10万円×7戸=70万円

管理料:7.5万円

合計:212.5万円

3ヶ月 免責期間につき、収入なし 家賃:10万円×20戸=200万円

礼金:10万円×5戸=50万円

管理料:10万円

合計:240万円

合計 0円 6,085,000円

最初の3カ月間の収入で、600万円以上の差額が生じます。

とはいえ、これはサブリースの収入が得られない期間の話です。

それ以降は、どうなるのでしょうか?

 

3カ月経過後の1年間、入居率90%となった場合の収入の違いは、以下のようになります。

期間 サブリース 空室補償
1ヶ月の収入・支出 200万円×85%×90%=153万円 200万円×90%×90%=162万円
1年間の収入・支出 153万円×12ヶ月=1836万円 162万円×12ヶ月=1944万円
10年間の合計 1836万円×10=1億8360万円 1944万円×10=1億9440万円

1年間で、108万円の収入の差が出てきます。

10年間だと、1,000万円以上の差額です。

さらに、個々に更新料や、入居者の入れ替わりがあった場合の礼金等も加わります。

似たようなサービスに思えても、実は大きな差があるのです。

 

ただし、空室補償の場合は物件の管理や入居者募集などを、オーナーが行わなければならないこともあります。

契約内容によりますが、あくまでも本質は空室が出た際の家賃補償なのです。

 

そのため、どのように賃貸住宅を経営したいのか、ということを考えて検討しましょう。

自分で管理ができない場合でも、空室補償と管理会社を利用するという方法もあります。

トラブルなく、より利益が大きいように経営できる方法を選びましょう。

サブリース契約を解除・解約できない危険性について

サブリース契約を解除・解約できない危険性について

サブリース契約は借地借家法第32条によって、家賃を保証し借り受ける不動産会社を「入居者」として認め、「正当事由」なしにオーナーは契約更新の拒絶ができないとの判例が裁判により判断されています。

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サブリース契約

まとめ

サブリース契約の確認事項

一見便利なように見えるサブリースも、実は様々な問題があります。

2020年12月からは、通称サブリース規制法と言われる法律が施行されたため、今後は健全になるとは思われますが、まだまだどうなるか分かりません。

これから賃貸住宅の経営を始める場合は、よく検討して利用しましょう。

 

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