居住用不動産と同様に、投資用不動産にはさまざまな構造があります。
よって、今後オーナーになる予定の方は、立地や間取りだけでなく、建物構造にも注目して物件を購入しなければいけません。
ここからは、それぞれの構造におけるメリット・デメリットを中心に解説しますので、ぜひご覧ください。
この記事は約5分で読めます。
投資用不動産の建物構造の種類
投資用不動産の構造としては、主に以下の4つが挙げられます。
- SRC造
- RC造
- S造
- 木造
SRC造
鉄骨鉄筋コンクリート造のことを“SRC造”といいます。
Steel Reinforced Concreteの略で、名前の通り鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせて作られています。
高層マンションなど、高層の建築物の多くは、この構造が採用されています。
RC造
鉄筋コンクリート造のことを“RC造”といいます。
引張力と圧縮力に対して異なる性質を持つ2つの材料(鉄筋、コンクリート)を組み合わせることで、強靭の構造を作り出します。
また、RC造は柱や梁といった構造部材の代わりに、壁で建物を支える”壁式構造“が採用されているケースが多いです。
S造
鉄骨造のことを“S造”といいます。
具体的には、梁や柱などの骨組みに鉄骨を用いたもので、マンションやアパート、一戸建てやビルなど幅広く採用されています。
ちなみに、S造は使用する鋼材の厚さによって、以下の2つに細分化されます。
S造の種類 | 鋼材の厚さ |
重量鉄骨造 | 6mm以上 |
軽量鉄骨造 | 6mm未満 |
木造
建物の柱、梁、壁などの構造体を木材で作る構造です。
“木造=古い”というイメージがあるかと思いますが、近年は一般的な製材だけでなく、集成材やエンジニアリングウッドなど、強度のある材料も登場しているため、木造で新築される物件も少なくありません。
SRC造のメリット
SRC造の投資用不動産には、以下のようなメリットがあります。
- 強度が高い
- 効率的な造り
- 材料同士で弱点を補い合っている
- 耐用年数が長い
強度が高い
SRC造は、強度が高い鉄筋コンクリートが鉄骨の周りにあることで、他のどんな構造よりも強度を挙げられます。
また、RC造が持つメリットのほとんどは、SRC造も同じように持っています。
効率的な造り
RC造の場合、どうしても壁や柱は厚く、太くなってしまいますが、SRC造は、柱の中心に最初から鉄骨が入っているため、その分壁や柱を薄くすることができます。
つまり、RC造に比べると、同じ敷地でもSRC造の方が空間を広く使えるということです。
材料同士で弱点を補い合っている
SRC造は、S造の錆びやすいという点をコンクリートで補い、揺れに関しては鉄骨を組み込むことで耐震性を強くしています。
耐用年数が長い
SRC造の耐用年数は、47年と非常に長く、これからオーナーになる方の状況に応じて、融資期間を長く取ることも可能です。
RC造のメリット
続いては、RC造のメリットを見てみましょう。
- 遮音性が高い
- 火に強い
- 揺れに強い
遮音性が高い
RCはコンクリートで覆われていて、音が響きにくく騒音トラブルの可能性も低いため、入居者には人気があります。
火に強い
コンクリートは木材に比べて燃えにくい材質であり、高い耐火性が期待できます。
そのため、一室の火事が他の部屋、他の建物に燃え移る可能性は低いです。
揺れに強い
RC造はコンクリートだけでなく鋼材も使用されているため、地震の揺れに強く、災害時の被害は抑えやすくなるでしょう。
S造のメリット
次に、S造の投資用不動産のメリットを見てみます。
- 耐震性が高い
- 建築費がリーズナブル
耐震性が高い
S造の投資用不動産は、強い地震の揺れが生じても振動を吸収するため、倒壊または破損が起こりにくい性質になっています。
建築費がリーズナブル
ある程度の強度を持っているにも関わらず、S造はRC造やSRC造と比べてリーズナブルな建築費で建てることができます。
木造のメリット
では、木造の投資用不動産には、一体どのようなメリットがあるのでしょうか?
具体的には以下の通りです。
- 建築費用を抑えられる
- 改修しやすい
建築費用を抑えられる
木造のメリットは、なんといっても“建築費用が安い”という点です。
建築費用を抑えられる分、うまく入居者を集めることができれば、高利回りの不動産投資となる可能性もあります。
改修しやすい
木造の投資用不動産には木材が使用されるため、コンクリートや鋼材を用いた物件よりも簡単に改修工事ができます。
また、工事の期間もそれほど長くはかかりません。
各構造のデメリットについて
それぞれ優れた点を持つ投資用不動産の構造ですが、実際その構造の物件を選ぶのであれば、必ずデメリットも知っておきましょう。
SRC造のデメリット
SRC造は、S造とRC造の”良いとこ取り“のような構造ですが、その分工程は複雑化するため、工期も長くなりやすいです。
また、工期が長くなる分、どうしても建築コストはかかりやすくなってしまいます。
RC造のデメリット
RC造は、場合によっては地盤の強化などが必要ですし、気密性が高いので結露も発生しやすいです。
もちろん、結露を防止するための適切な換気システムを導入するには、建築コストを上乗せしなければいけません。
S造のデメリット
S造の中でも軽量鉄骨造の場合、やや遮音性に不安があります。
また、S造はそれほど耐火性が高くありません。
そのため、屋根や外壁、天井や床等に耐火性能の高い素材を使うなどして、火災への備えをする必要があります。
木造のデメリット
木造は、投資用不動産の構造の中でももっとも音が伝わりやすいと言われています。
また、鋼材やコンクリートを使用した構造よりも燃えやすいため、不燃材料や準不燃材料、網入りガラスなどの使用は必須でしょう。
もっと言えば、木造は耐用年数が短いため、中古物件を購入する際の融資審査にも通りにくいです。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- SRC造は強度や効率性に優れている反面、工期もコストもかかりやすい
- RC造は遮音性や耐震性に優れているものの、気密性が高いので結露が発生しやすい
- S造は耐震性と建築費の安さが魅力で、遮音性や耐火性には不安がある
- 木造はリーズナブルに建築できる反面、全体的に強度が低く、融資も受けにくい
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!