中国恒大集団問題について解説します

  • 2021年10月2日
  • 2021年12月26日
  • 時事
中国恒大集団問題について解説します

中国の不動産開発を手掛ける企業の中でも、特に大手の企業の一つに中国恒大集団があります。
しかし現在、その大企業が倒産の危機に陥っていると伝えられています。
中国恒大集団問題と名付けられたその一件には、どのような理由があるのでしょうか?

この記事は約10分で読めます。

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中国恒大集団とは?

中国恒大集団問題というのは、中国恒大集団にまつわる問題のことです。
まず、中国恒大集団というのはどのような企業なのでしょうか?
その点について、詳しく解説します。

中国恒大集団は、中国の不動産開発の大手です。
広州市で1996年に創業した企業で、中国の民間企業では最大級となっています。
ただし、中国の不動産は日本と事情が異なります。

どう違うのかというと、中国では土地がすべて、国が所有者となっているのです。
つまり、中国は全土が国有地で、個人の土地というものは存在していないのです。
日本でも、かつては全てが公地でしたが、明治時代からは明確に土地の所有権が認められるようになっています。

では、中国で家を建てて住んでいる人の土地は何なのかというと、中国政府が販売している土地の使用権を購入しているのです。
地方政府では、この土地の使用権の販売が大きな収入となっています。

国は、地方政府を通じて不動産開発業者に土地の使用権を販売します。
そして、それを購入した業者はその土地にマンションなどを建設します。
そのマンションが欲しい個人、もしくは企業などは、マンションの所有権と土地の使用権をセットで開発業者から買い取ります。

中国恒大集団は、不動産バブルに乗って成長してきました。
銀行からの融資を受けて投資を積極的に行い、2020年の中国物件販売面積のランキングでは第2位になっています。

それだけではなく、中国での資産運用、理財商品の販売も積極的に行い、資金を集めています。
これは、中国恒大集団にお金を貸して、代わりに債権を得て召喚されるというものです。
日本でいえば、社債とほぼ同じものです。

これまで、280以上の都市で事業展開を進めています。
中国政府が改革開放路線を推し進めてきたことで、不動産開発事業が大きく急成長したのです。

中国恒大集団の創業者は、許家印という人物です。
この会長は一時期、中国一の富豪にまで上り詰めました。
2017年には、430億ドルもの資産を持っていたのです。

また、事業内容は多角化を進めていて、広州のサッカークラブの運営母体としても知られています。
その他、食品の販売や観光業、ヘルスケア、インターネット関連のサービスも手掛けています。

子ども向けのテーマパークを経営している、という点でも有名です。
恒大童世界というテーマパークは、ディズニーランドよりも広いとされています。
2019年には、未来を見据えて電気自動車開発にも取り組んでいます。

中国恒大集団問題とは

 

では、中国恒大集団問題というのは一体何のことでしょうか?
現在は、これが中国の経済に大きな影響をもたらしているのです。
その詳しい内容について、解説します。

中国恒大問題というのは、その名前の通り中国恒大グループに関わる問題です。
実は、中国恒大集団が多額の負債を背負っていることが公表されたのです。
その額はおよそ1兆9700億元、日本円に換算すると約33兆5000億円です。

それに伴い、このままだと債務不履行、デフォルトに陥るリスクがあると警告されています。
それを受けて、恒大の株価は今年に入ってから、元々の20%にまで下落しています。

格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスでは、恒大の格付けを引き下げています。
その後で、フィッチ・レーティングスやS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)でも格付けの引き下げを行いました。

9月23日は恒大の利払い日だったのですが、このときには国内債の分だけ支払われました。
外債の利払いは30日の猶予期間が設けられているので、それを利用したのでしょう。

外債の利子は、およそ90億円です。
恒大にとってはそれ程大きくない額だと思われますが、それを支払うのが難しいほど経営が追い詰められていると思われます。

とはいえ、これで支払いができないとなると今後、中国企業が海外から資金を調達するのが難しくなってしまいます。
そのため、10月23日までには支払われることとなるでしょう。

しかし、この外債分をどうにか支払えたとしても、それ以外にも債券の利払いは続きます。
更に、2022年には債権の満期を迎えることになるので、元本も返済しなくてはならないのです。

すでに、中国恒大の本社ビルには多くの投資家が詰めかけていて、ロビーでお金を返すよう訴えています。
とはいえ、その訴えが認められる可能性は低いでしょう。

なぜ、不動産事業で成功したのか

なぜ、不動産事業で成功したのか

そもそも、中国恒大集団は不動産の開発事業で成功したことで成長しました。
それによって、過剰なまでの投資を繰り返して事業を拡大したことが、今回の問題へとつながったのでしょう。
不動産事業が大きく成長した背景についても、考えてみましょう。

まず、中国では現在不動産バブルというべき現象が起こっています。
そのような事態になったのには、主に2つの理由があります。
まずは、中間層が不動産を獲得することに熱心となったことです。

不動産は元々、富裕層が投機として購入することが多かったのです。
そこには、党幹部も含まれています。
そうして、不動産価格が高騰していったのです。

ところが、徐々に中間層も不動産を購入する動きを見せていました。
そして、その仲介をする業者も不動産が値上がりしていることを伝えて、今買わないともっと高くなっていくと購買欲を煽っていったのです。

さらに、小学校の入学問題もあります。
中国の優良な公立小学校には、入学するにあたって条件があります。
それは、不動産書字証明書を提出することです。

中国でも小中学校は義務教育なのですが、たとえ公立の学校でも入学試験はありました。
それに伴い、入試では学校にわいろを渡すのが当たり前だったのです。
さらに、入試の対策をするための塾に通う際も高額な月謝が必要でした。

こういった腐敗した構造を撤廃するため、習近平が試験を撤廃するよう通達し、正式に発布しました。
これにより、小中学校の入学試験は撤廃されたのですが、その代わりに出てきたのが入学審査におけるランク制度です。

その内容は、不動産を保有しているかどうかによってランク付けするというものです。
不動産を所有しているかどうかを、優良な小学校で入学できるものを選ぶ際の基準としたのです。

中国では、都市を大都市から順に、第一線、第二線、第三線、・・・・と格付けをしているのですが、このうち第一線と第二線ではほとんどがこのような基準になっているようです。

中国の一般家庭では、高学歴を得るためにかなり努力しています。
中間層は、どうにかして不動産を手に入れようと必死なのです。
その結果が、不動産バブルです。

また、中国では一人っ子政策があります。
これも、実は不動産バブルを後押ししているのです。
その主な理由は、男女比にあります。

中国の農村部では、男の子を生むことが望まれます。
そのため、妊娠しても女の子だと判ると堕胎させられることもあったほどです。
そして、男の子を生むと高く評価されるのです。

このせいで、中国での男女比を見ると男性の数が女性の数を大きく上回っているのです。
そして、結婚したくても出来ない男性が増えているのです。
結婚願望がない男性も多いのですが、独身男性は総じて肩身を狭い思いをするのです。

そして、人数が少ない女性は男性を選ぶことができる立場にあります。
そのため、日本のバブル期のように男性に厳しい条件を突き付けています。
それが、家と車と高学歴です。

このうち、家に関しては本人が購入することもありますが、我が子を結婚させたい親がなけなしのお金を集めて買い与えることも少なくありません。
これは、中国でよく見られる光景となっているのです。

中国恒大集団問題が起こった理由

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このような背景があって、中国恒大集団は大きく成長してきました。
それでも、今回のような事態になってしまいました。
その理由についても、説明していきます。

中国では、新型コロナウイルス対策として金融緩和を行ったのですが、その際に投資をするための資金の融資を受ける人も大勢いました。
そして、その資金が不動産市場へと流れ込んで行ったのです。

それにより、新型コロナウイルスによって大打撃を受けた中国経済が支えられました。
しかし、中国政府としては不動産を投機の対象として見るのには賛成できず、あくまでも住むためのものというスタンスでした。

そして、不動産投資を抑制しようと様々な政策を打ち出してはいるもの、あまり効果はありません。
不動産市場に流れる投資資金も順調に増え、伸び率も上昇を続けているのです。

つまり、不動産事業は非常に好調なのです。
それなのに、中国恒大集団が苦戦しているのは何故でしょうか?
それは、不動産事業以外の部分に原因があるのです。

先程も言いましたが、中国恒大集団では様々な事業を展開して多角経営をしています。
しかし、事業を始める際には多額の初期費用が必要となるのです。

その為の資金は、銀行やノンバンクから融資を受け、さらに海外向けの社債を発行して外貨も得ることで賄ったのですが、そのせいで返済や利払いに苦しみ、現在の様になっているのです。

つまり、無計画な事業拡大が現在の苦境を招いているのです。
これに伴い、中国恒大グループでは当座の資金を用意するために、不動産を大きく値下げして販売していると言われています。
これが長く続くと、不動産市場にも大きな影響を及ぼすこととなるでしょう。

中国政府は何らかの対応をするのか?

中国政府は何らかの対応をするのか?

中国恒大問題で注目されているのが、中国政府の対応です。
もし、中国恒大が債務不履行となった場合は、中国政府が何らかのフォローをするのか、という点が注目されています。

中国恒大は、中国でも最大級の民間企業であり、売上高も非常に大きい企業です。
そのせいで、負債も大きくなってしまったと言えるのですが、もしそれが倒産してしまうようなことになると、中国経済に与える影響は無視できないものとなるでしょう。

言うなれば、中国版のリーマンショックが起こるのでは、と懸念されている面もあるのです。
ただし、アメリカとは違って中国企業は世界の市場に開かれているわけではないので、世界経済に与える影響はそれほど大きくないでしょう。

問題は、中国の国内への影響です。
個人の生活に与える影響はかなり大きくなると思われ、混乱も生じるでしょう。
果たして、それを中国政府は無視できるのでしょうか?

ただ、現時点では中国政府からの関与はない、という見方が大多数となっています。
その理由として、政府では昨年8月に大手不動産企業を集めて座談会を開いているのですが、その中には当然中国恒大も含まれていました。

そして、その座談会では、総資産に対する負債比率は70%を超えない、自己資本に対する純負債率は100%を超えない、現金対短期負債比は1を超えないといった3本のレッドラインを示しているのです。

これを守らなかった場合は、銀行からの融資に制限がかかるといった罰則も含めて言い渡されたのですが、中国恒大はこの3つすべてに違反しています。
つまり、中国恒大は直々に言われた決まりを破っているのです。

これを救済した場合、わざわざ言い渡したレッドラインが何の意味もなくなります。
また、習近平国家主席は現在の不動産価格の高騰にも懸念を示しています。
中国恒大を救済すると、この高騰もまだまだ続いていくでしょう。

とはいえ、国家のものである土地を扱う企業をいきなり倒産させてしまうと、使用権が大量に市場へと流れて価格が大きく下がり、地方政府は大きな損失を被るかもしれません。
また、マンション購入者や銀行なども困ることになるでしょう。

そこで、恒大を救済はしないものの、倒産しないように支えて混乱が生じないようにする、というのが政府の選択になると思われます。
そのため、恒大は今後成長する可能性は限りなく低くなるものの、現状の問題は何とか解決できると思われます。

まとめ

中国恒大集団問題について解説します

大きな企業が倒産するようなことがあると、関連企業も多いので様々な混乱が生じます。
日本でも、企業の倒産に伴って下請けも倒産、という話は時折聞こえます。
中国でも最大手の企業が倒産するようなことがあると、混乱はその比ではないでしょう。
そのため、中国政府ではその企業に対して救済はしないものの、購入者や関連企業だけは救済するような方策を取ると考えられます。
ただし、これはあくまで予測なので、実際にどうなるかは今後の成り行きを見守りましょう。

 

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