不動産投資では、サブリースを行ったり、借地権付き物件を購入したりすることがあり、その場合にはある程度借地に関する知識が必要になります。
そうすることで、地主や借主とのトラブルはある程度回避することができます。
ここからは、借地に関するトラブルにはどのようなものがあるのかについて解説しましょう。
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代表的な借地に関するトラブル5選
不動産投資をする方が触れる可能性のある、借地に関するトラブルには、主に以下のようなものが挙げられます。
- 売却に関するトラブル
- 土地明け渡しに関するトラブル
地代関連のトラブル
借地には、“地代”という金銭が存在します。
こちらは、土地を借りる立場の借地権者から、貸し出す立場の地主に支払うものであり、いわば土地の使用料です。
借地権付き物件を購入して不動産投資を行う場合も、その物件のオーナーは、地主様にあらかじめ定められた金額を地代として支払わなければいけません。
また、地代には平均的な年相場というものが存在し、こちらは当該物件における固定資産税の3~4倍程度とされています。
ただし、統一された金額は存在しないため、時折地主と借地権者の間で、妥当な地代についての見解が分かれ、トラブルが発生することがあります。
このような場合は、不動産鑑定士に依頼したり、裁判所に妥当な地代を定めてもらったりすることで、双方が納得できるよう、物事を進めていく必要があります。
更新料関連のトラブル
更新料とは、その名の通り借地契約を更新する際に、借地権者から地主に支払われる金銭を指します。
ただし、借地の更新料は、法律的に支払い義務が認められているものではありません。
それにもかかわらず、地主から「支払わなければ更新はしない」といった旨を伝えられ、トラブルに発展するというケースは多く見られます。
このような場合、借地権者側は納得がいかないかもしれませんが、スムーズな契約更新を望むのであれば、支払うことが望ましいと言えます。
更新料には、借地契約更新の対価という性格もありますが、その他に“地主が異議権を行使しないための対価”という性格もあります。
つまり、地主側から見ると、“今後契約更新をキャンセルすることはない代わりに支払ってもらう金銭”が更新料だということです。
また、借地権者は一度更新料を支払うことで、今後各種の地主の承諾を得られる可能性が高くなるため、関係を良くするためにも、支払っておくのが無難だと言えます。
増改築、建て替え関連のトラブル
増改築、建て替え関連のトラブルも、借地における代表的なトラブルの1つです。
借地において、建物の増改築や建て替えを行う場合は、原則地主の承諾を得なければいけません。
また、借地契約に増改築禁止特約がある場合は、基本的に承諾料を支払わない限り増改築、建て替えの許可が下りないため、借地権者は注意しなければいけません。
もちろん、地主と借地権者の間で、これらの増改築、建て替えのルールが共有されておらず、トラブルに発展するということもありますが、他にも細かいトラブルが起こる可能性はあります。
例えば、地代と同じように、承諾料の金額における妥当性について対立するケースなどは、非常によく見られます。
その他、過去に借地権者から地主に支払われたまとまった金銭の一部を、今回の増改築、建て替えの承諾料として立て替えるという方法について、地主が許可せず、借地権者が異議を唱えるというトラブルの形もあります。
ここでいうまとまった金銭とは、賃貸借契約における“敷金”のような性質のものだと考えてください。
ちなみに、前述したような増改築、建て替えに関するトラブルは、増改築許可の裁判という制度で解決する可能性があります。
売却に関するトラブル
借地に建築された建物は、地主ではなく借地権者の持ち物です。
しかし、こちらを売却する場合、事前に地主の許可を取らなければ、借地契約を解除されてしまう可能性があります。
なぜなら、借地上の建物の売却は、通常の不動産売却ではなく、“借地権譲渡”に該当するからです。
このようなルールを知らずにいると、地主とのトラブルが発生する可能性は高いため、注意しましょう。
また、借地上の建物を売却する場合、通常は借地権価格の10%程度を承諾料として支払うことで、地主の許可が下りるケースが多いです。
しかし、承諾料を支払う旨を伝えているにもかかわらず、地主が断固として売却を許可しないということも考えられます。
このような場合、借地権者は借地権譲渡許可の裁判により、裁判所から売却を許可してもらう手続きを踏むことになります。
土地明け渡しに関するトラブル
借地契約における土地の明け渡しでは、“明け渡し料”という金銭に争点が集まりやすいです。
こちらは“立退料”とも呼ばれるもので、借地契約を終了し、土地を明け渡してもらうために、地主から借地権者に支払われる金銭をいいます。
また、明け渡し料の金額は、更地価格や借地権価格を参考に算出されますが、実際は多くの事情が用いられるため、金額について地主と借地権者がトラブルを起こすということは多々あります。
その他、借地の明け渡しには、地主の正当事由が必要ですが、こちらに関しても見解の相違が生じやすいポイントの1つです。
ちなみに、借地の明け渡し時には、借地権者が“建物買取請求権”を行使することもありますが、こちらも明け渡しを複雑にする制度の1つです。
借地契約の期間満了(更新拒絶)の場合、借地権者は強制的に、地主に対して建物を買い取ってもらうことができ、こちらを地主が拒否することはできません。
一方で、借地権者の違反により、借地契約が終了する場合、建物買取請求権は認められないことになっています。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- 地代の金額の妥当性について、地主と借地権者でトラブルになるケースは多い
- 借地上の建物における増改築、建て替え、売却に関するトラブルは、裁判所の許可によって解決できる可能性がある
- 借地の明け渡し時には、明け渡し料や建物買取請求権に関するトラブルが起こりやすい
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!