【投資用不動産】借地借家法における立ち退きのルールについて

【投資用不動産】借地借家法における立ち退きのルールについて

借地借家法には、建物の所有を目的とする地上権、土地賃貸借(借地)、建物賃貸借(借家)に関するさまざまなルールが定められています。

よって、不動産投資をする方にとっては、内容を少しでも把握すべき法律だと言えます。

今回は、借地借家法における“立ち退き”のルールを中心に解説したいと思います。

この記事は約5分で読めます。

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立ち退きの概要

立ち退きの概要

地主の事情により、借地人に賃貸借契約の解約を要求することを“立ち退き”といいます。

具体的には、以下のような理由で行われることが多いです。

  • 借地を利用したいため
  • 隣地と一体で借地を再開発したいため
  • 再開発してより高額な賃料収入得たいため など

ただし、借地借家法は、立場の弱い借地人を守る傾向が強い法律のため、地主側の都合があるとはいえ、それだけで立ち退きが成立することはありません。

“正当事由”があって初めて、地主は借地人に対して立ち退きを請求できます。

また、こちらの正当事由に関しては、借地契約と借家契約で判断基準が異なります。

借地契約における正当事由の判断基準

借地契約では、地主側、借地人側にそれぞれ以下のような事情があることが、正当事由の判断基準となります。

地主側 その土地に自ら使用する建物を建築する場合、またはこれと同視できる経済的必要性がある(他に多くの不動産を所有していない、当該土地が是非とも必要であるなど)
借地人側 借地人側の土地の必要性が低い(長期間借地上の建物が使用されていない、借地上の建物の老朽化が激しいなど)

また、これだけでなく、借地に関する経緯(借地権設定の経緯、借地の経過期間、権利金の有無など)、立退料の有無などについても、判断基準に含まれます。

借家契約における正当事由の判断基準

一方で、借家契約の場合、地主と借地人における建物の必要性について比較され、地主の必要性の方が高いと判断される場合に、正当事由が認められやすくなっています。

その他、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況、現況などについても判断基準になります。

ちなみに、立退料の有無についても、借地契約とともに判断基準に含まれます。

立退料の決まり方について

立退料の決まり方について

借地借家法では、地主が借地や借家からの立ち退きを請求するにあたって、立退料が必要になった場合の金額の決まり方についても定められています。

一般的には、借地権価格を算出した後、そのうちの何割かを立退料とするケースが多いです。

“借地権価格”とは、借地権の価値を視覚的に示すために表しているものをいい、土地の評価額に借地権割合をかけて算出します。

例えば、土地の評価額が700万円、借地権割合が70%の土地であれば、700万円×70%=490万円が借地権価格となります。

また、これのうち何割を立退料とするかについては、以下の事情を考慮して決定されます。

  • 地主に借地利用を認める必要性がどれくらい高いか
  • 立ち退きしたときの借地人の負担がどれくらい大きいか、またはどれくらい困窮するか

このとき、地主の借地利用を認める必要性が著しく高いとされる場合、立退料は借地権価格の2割程度にとどまることも考えられます。

一方、立ち退きをしたときに借地人の負担が著しく大きいとされる場合、地主は借地権価格とほぼ同額の立退料を支払わなければいけない可能性もあります。

つまり、借地借家法において、立退料の決まり方については定義されているものの、明確な相場は存在しないということです。

借地人の債務不履行に伴う立ち退きについて

借地人の債務不履行に伴う立ち退きについて

借地借家法では、借地人の債務不履行に伴う立ち退きに関するルールも定められています。

例えば、借地人に地代の滞納などがあった場合、地主は契約期間の経過を待たず、また正当事由を必要とせず、当該賃貸借契約を解除して、借地人を立ち退かせることができます。

ただし、この場合の立ち退きには、地主と借地人の信頼関係を破壊すると認められる事情が必要であるため、契約違反が1度や2度あった程度では、契約解除が認められないケースがほとんどです。

借地人が立ち退きに応じないときの対応について

借地人が立ち退きに応じないときの対応について

立ち退き要求が可能な条件が整っているにもかかわらず、借地人側がこれに応じない場合、地主は契約の更新拒絶、債務不履行による解除のいずれの方法によるとしても、まずは賃貸借契約を終了させなければいけません。

契約期間満了の6ヶ月前までに更新拒絶の通知をしたいという事実を確実に証明するためには、内容証明郵便の方法によるのが望ましいです。

また、借地人が立ち退きに応じないものの、話し合いには応じる考えである場合、立退料あるいは解決金といった名目で、地主から借地人に対して支払う金額を設定します。

このとき設定する金額は、前述した立退料の目安に従うのが良いでしょう。

ただし、借地人に一切話し合いに応じる姿勢が見えない場合は、調停や訴訟といった裁判手続きにより、借地人を立ち退かせるかどうかを決定します。

建物買取請求権について

建物買取請求権について

借地借家法には、賃貸借契約の更新に際し、借地人が地主に対して、借地上の建物を買い取るよう請求することができる“建物買取請求権”というルールが定められています。

こちらは、立ち退きなどの理由による借地の賃貸借契約終了にあたって、借地人が建物を失うことから、その損失を補償する法的権利を認めるものです。

また、建物買取請求権を行使した際の建物の金額は、借地権価格や借家権価格ではなく、権利を行使した時点における建物の時価で決定します。

ただし、時価とはいっても、こちらは借地人を保護するために解釈されるケースが多いため、どれだけ老朽化が激しい建物でも、買い取り金額が0円になるということは考えにくいです。

つまり、地主は建物買取請求権を行使された時点で、いくらかの買い取り金額を借地人に支払わなければいけないということです。

今回の記事のポイントを整理!

【投資用不動産】借地借家法における立ち退きのルールについて

今回の記事のポイントは以下になります。

  • 地主の事情により、借地人に賃貸借契約の解約を要求することを“立ち退き”という
  • 立ち退きにおける正当事由の判断基準は、借地契約と借家契約で異なる
  • 立退料の金額は、借地権価格の何割かになるケースが多い
  • 立ち退きなどの理由によって賃貸借契約を終了する場合、地主は“建物買取請求権”を行使されることがある

以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!

 

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