投資用不動産購入時に利用するアパートローンには、団体信用生命保険への加入が義務付けられている商品もあります。
よって、これから不動産投資を始める方は、必ず団信に関する知識を持っておかなければいけません。
今回は、特に知っておくべき団体信用生命保険の“保険料”について解説します。
この記事は約5分で読めます。
団体信用生命保険の保険料における仕組み
まずは、団体信用生命保険の保険料における基本的な仕組みを見ていきましょう。
実際アパートローンを利用し、団信に加入する前に、目を通して頂ければ幸いです。
保険料が発生しないケースもある
“団体信用生命保険”という名称から、必ず保険料を支払わなければいけないと思っている方も多いかもしれませんが、実際はそうではありません。
団信は、加入者が亡くなったり、高度障害を患ったりした場合に、ローン残債が清算される保険です。
このような従来の団信の機能のみを果たす契約内容の場合は、基本的に保険料がかかりません。
つまり、加入者の方は、一切保険料を負担せず、不動産投資におけるリスクヘッジをすることができるというわけです。
保険料がかかるケース
通常の団信に特約を設けている場合は、基本的に保険料がかかります。
例えば、以下のような特約付き団信は保険料が発生するため、覚えておきましょう。
- がん団信
- 3大疾病団信
- 7大疾病団信 など
保険料の支払い方法について
団信の保険料は、以下のいずれかの方法で支払う必要があります。
・金利上乗せ方式
返済するアパートローンに0.1~0.4%程度の金利を上乗せし、保険料を支払うという方式です。
すでにローンに対し、保険料が金利という形で上乗せされているため、加入者の方はローン返済とは別に、わざわざ保険料を支払う必要がありません。
もっともポピュラーな支払い方法です。
・保険料外枠方式
アパートローンの返済とは別に、通常の生命保険のように保険料を支払う方式です。
保険料を別途支払っているため、中途解約をすることができます。
ただ、金利上乗せ方式とは違い、こちらの方式では保険料の支払い漏れが発生する可能性があるため、注意しましょう。
団体信用生命保険の保険料の計算方法
団信の保険料がいくらくらいかかるのかについては、皆さん気になるところでしょう。
そのため、利用する前に計算方法を把握しておくべきです。
・金利上乗せ方式の場合の計算方法
金利上乗せ方式の場合、各特約に対する金利が把握できれば、簡単に保険料が算出できます。
例えば、“りそな銀行”が提供する団信に3大疾病特約を付ける場合、金利に年0.25%が上乗せされます。
また、元金均等返済の場合、アパートローンの返済金額は少しずつ減っていくため、ローン残金を基に算出される団信の保険料も、年を追うごとに下がっていきます。
ただし、金利上乗せ方式の場合、ローンの返済期間が長いほど保険料を支払う期間も長くなるため、注意しましょう。
・保険料枠外方式の場合の計算方法
保険料枠外方式の場合、保険料を計算するには、シミュレーションができる無料サイトを利用するのがおすすめです。
主に、アパートローンを取り扱う金融機関のホームページなどに設置されています。
生命保険料控除について
通常、生命保険料を支払った場合、“生命保険料控除”を適用させることができます。
こちらは、支払った保険料に応じて税金が軽減される制度であり、具体的には支払った保険料の一定額が、その年の契約者の所得から差し引かれます。
一方、団信も生命保険の一種ではありますが、残念ながらこちらの制度の対象とはなりません。
なぜなら、生命保険控除には、“保険金の受取人が契約者本人、配偶者、その他の親族であること”という条件があるからです。
団信の保険金は、直接契約者や親族などの手に渡るわけではありません。
一度金融機関や保険会社に対して支払われ、そこから残債の清算に充てられるため、生命保険控除対象にならないという仕組みです。
団体信用生命保険の保険金が支払われないケース
団体信用生命保険は、特約がない場合、基本的には保険料を一切負担せず、契約者の死亡時や高度障害発症時に保険金を受け取れる保険です。
しかし、保険金は必ずしも受け取れるとは限りません。
契約者が以下のような事由に該当する場合、保険金が支払われず、ローン残債の清算ができない可能性があるため、注意しましょう。
- 保障開始から1年後に自殺した場合
- 契約者の故意により、死亡または高度障害に陥った場合
- 保険金受取人の故意により、死亡または高度障害に陥った場合
- 戦争またはその他の変乱により、死亡または高度障害に陥った場合
- 保障開始日よりも前に発生した傷害、疾病を原因として高度障害に陥った場合
- 夫婦で連帯責任者となっているとき、いずれかの故意により他方が死亡または高度障害に陥った場合
複数の団信への加入も可能
団信はローンを組むごとに加入できる保険であるため、複数加入することもできます。
したがって、マイホームを購入する際に団信に加入した上で、投資用不動産を購入する際、別の団信に加入することも可能です。
また、投資用不動産を複数購入する際にも、もちろん組んだアパートローンの数だけ団信に加入できます。
ちなみに、必要かどうかは別として、1つの不動産に対し、二重の団信に加入することも不可能ではありません。
ただ、複数の団信に加入するということは、当然ローンの総返済額が増加するということであるため、しっかりシミュレーションをした上で加入するかどうかを決定しなければいけません。
そして、団信の多くは金利上乗せ方式であるため、一度加入するとなかなか中途解約をすることができません。
複数加入するのであれば、中途解約が可能な保険料枠外方式の団信を選ぶなど、状況の変化に対応できるような工夫をする必要があります。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- 団信は基本的に保険料が発生しない
- がん団信など、特約が付いている場合は保険料が発生する
- 保険料の支払い方法は“金利上乗せ方式”と“保険料枠外方式”の2種類
- 団信は生命保険料控除の対象にならない
- 契約者の早期自殺、故意による高度障害などについては、保険金支払いの対象にならない
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!