不動産投資で得た賃料収入は、そのまますべてオーナーの手元に入ってくるわけではありません。
さまざまな費用が差し引かれ、残った金額がオーナーの収入となります。
この記事では、絶対に知るべき賃料収入から差し引かれる主な費用の種類と相場について解説しますので、これから不動産投資を始める方は必ず把握するようにましょう。
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賃料収入から差し引かれる主な費用
不動産投資の賃料収入から差し引かれる費用には、主に以下の6つが挙げられます。
・ローン返済費用
・管理費
・修繕積立金
・税金
・火災保険料
・退去時のクリーニング費用
では、次は以下の費用の相場はどれくらいなのかについて解説しましょう。
ローン返済費用の相場
アパートローンの返済費用は、不動産投資における代表的なランニングコストの1つです。
返済費用は、購入する物件や利用する方の属性などによって大きく異なるため、相場がいくらぐらいなのかについては、一概には言えません。
ただ、理想的な返済比率は40~50%程度と言われているため、物件価格が把握できれば、年単位・月単位でどれくらいの金額を返済しなければいけないかがわかるでしょう。
もちろん、アパートローンの返済費用には金利もかかるため、試算の際にはこちらも考慮しなければいけません。
管理費の相場
不動産投資における管理費とは、基本的には管理会社への業務委託料を指しています。
また、管理費の金額については、一般的に以下の計算式で算出されます。
・賃料×オーナー、管理会社の双方で合意した料率(%)
例えば、月の賃料が12万円の物件で、管理費がその5%という契約の場合、12万×5%=6,000円を毎月管理会社に支払うことになります。
実際、管理会社へ支払う管理費は、賃料の5%相当程度に設定されるケースが多いですから、こちらが相場という認識で問題ないでしょう。
修繕積立金の相場
マンションで不動産投資を行う場合は、修繕積立金がかかります。
こちらは、マンションの大規模修繕工事など、長期修繕計画にしたがって修繕を行うために、管理組合が月々積み立てる資金をいいます。
修繕積立金の相場に関しては、国土交通省のガイドラインを参考にすることができます。
ガイドラインによると、2018年における修繕積立金の平均値は月11,243円/戸となっています。
また、修繕積立金の金額が適正かどうかを判断するためには、以下の計算式で算出した額と、現行の額を比較してみましょう。
・専有床面積あたりの修繕積立金の金額×マンションの専有床面積(㎡)
ちなみに、専有床面積あたりの修繕積立金の平均金額は、以下のように階数、建築延床面積によって異なります。
階数/建築延床面積 | 平均金額 | |
15階未満 | 5,000㎡未満 | 218円 |
5,000~10,000㎡ | 202円 | |
10,000㎡以上 | 178円 | |
20階以上 | 206円 |
税金の相場
不動産投資では、さまざまな税金が課税されます。
具体的には以下の通りです。
・所得税
賃料収入を始めとした総収入から、不動産投資にかかる必要経費を差し引いたものを“不動産所得”といいますが、こちらは所得税の課税対象となります。
また所得税の税率は、不動産所得の金額が増えるごとに高くなります。
課税対象となる不動産所得の金額 | 税率 |
195万円以下 | 5% |
195万円以上330万円以下 | 10% |
330万円以上695万円以下 | 20% |
695万円以上900万円以下 | 23% |
900万円以上1,800万円以下 | 33% |
1,800万円以上4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
・不動産取得税
課税標準額×税率で計算されるのが不動産所得税です。
課税標準額については、投資用不動産の時価がそのまま適用されるわけではなく、取得時の金額の建物については5~6割、土地については7割前後が目安となります。
・登録免許税
固定資産税評価額×税率で計算するのが登録免許税で、不動産投資の場合の税率は新築物件が0.15%(所有権保存登記)、中古物件が0.3%(所有権移転登記)です。
ちなみに、上記以外にも以下のような税金が課税されるため、トータルでは不動産投資における大きなランニングコストとなります。
・印紙税
・固定資産税
・都市計画税
・住民税
・相続税
・消費税
・個人事業税(個人事業主の場合) など
火災保険料の相場
火災保険は、その名前から“火災によって焼失した物件を補償してくれる保険”と思われがちですが、実際はそうではありません。
火災保険では、火災以外の災害も補償されます。
例えば、落雷や風水害といった災害です。
その他、戸建て物件やマンションなどの建物だけでなく、家具や什器などの動産も補償してくれるのが特徴です。
また、不動産投資における火災保険料の金額は、一般的に建物時価の80%が良いとされています。
こちらの理由としては、保険会社の多くが、一部保険の比例填補方式の分母に80%を乗じることが挙げられます。
ちなみに、火災保険料の金額については、ワンルームマンションの場合、基本の火災保険に施設賠償責任保険や地震保険をつけても、年間20,000円程度に収まります。
一方、一棟マンションの場合は、月額が10万円を超えるケースも珍しくありません。
退去時のクリーニング費用の相場
投資用不動産において退去者が出た場合、そちらの部屋ではクリーニングが行われるのが一般的です。
多くの場合、クリーニング費用に関しては、入居者から預かっている敷金や保証金から差し引くことが多いため、オーナーが実費で負担するというケースは少ないです。
ただ、費用相場に関しては、知っておいて損はありません。
投資用不動産のクリーニングは、ハウスクリーニング業者に依頼して行うのが一般的であり、相場は以下のようになっています。
部屋の広さ、間取り | 費用相場 |
ワンルーム、1K | 15,000~30,000円 |
1DK、1LDK | 30,000~40,000円 |
2DK、2LDK | 30,000~70,000円 |
3DK、3LDK | 50,000~85,000円 |
4DK、4LDK | 70,000~100,000円 |
ちなみに、部位別のクリーニング費用の相場は以下の通りです。
部位 | 費用相場 |
床(ワックス込み) | 8,400~15,000円(6畳あたり) |
エアコン(1台) | 12,000円前後 |
トイレ | 8,000~10,000円 |
浴室 | 14,000~17,000円 |
キッチン | 15,000~25,000円 |
洗面、脱衣所 | 8,000~9,000円 |
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
・ローン返済費用の相場は、物件価格の40~50%程度を年単位・月単位に換算したもの
・管理費の相場は賃料の5%程度
・修繕積立金の金額は月10,000円前後のケースが多い
・火災保険料の相場は、建物時価の80%程度
・退去時のクリーニング費用(業者への依頼費用)の相場は15,000~100,000円程度
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!