中古の投資用不動産購入時や、投資用不動産の運営中には、“リフォーム”や“リノベーション”が必要になる機会があります。
では、これらの言葉の違いとは、一体何なのでしょうか?
ここからは、リフォームとリノベーションの違いについて、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
この記事は約5分で読めます。
リフォームの概要
まずは、“リフォーム”の概要を見ていきましょう。
投資用不動産におけるリフォームとは、一般的に「古くなった建物を新築の状態に戻す」ということを指しています。
具体的には、以下のような工事がリフォームに該当します。
- ボロボロになった外壁を塗装し直す
- 古くなった浴槽を交換する
- フローリング、クロスを張り替える など
基本的に、リフォームでは大規模な工事を行いません。
また、一般住宅では、居住中に行うこともよくありますが、投資用不動産の場合は退去者が出た後、次の入居者が決まるまでの空室期間に行われることが多いです。
ただ、共用部分の工事に関しては、入居者がいる状態で行うこともあります。
リノベーションの概要
リフォームに対し、建物の設計部分から規模の大きい工事を実施し、その投資用不動産に新たな魅力を加えることを“リノベーション”といいます。
わかりやすく言うと、リフォームは「マイナスをゼロにする工事」で、リノベーションは「マイナスやゼロ、プラスをさらにプラスにする工事」といったイメージです。
投資用不動産におけるリノベーションの例には、主に以下が挙げられます。
- L型キッチンをアイランドキッチンに変更する
- エントランスにオートロック、宅配ボックスを設置する
- 室内に土足で入れる土間を設置する など
こちらもリフォームと同じで、室内の工事に関しては空室の際に行われることがほとんどです。
また、リノベーションはリフォームと比べて、“新しいターゲットを集めるため”、“他の類似物件との差を付けるため”に行われるという傾向が強いです。
リフォームのメリットについて
投資用不動産におけるリフォームには、主に以下のようなメリットがあります。
- 工事費が抑えられる
- 綺麗な状態を保てる
工事費が抑えられる
先ほども触れたように、投資用不動産におけるリフォームで行われるのは、あくまで規模の小さい工事です。
そのため、リノベーションに比べると、それほど工事費はかかりません。
また、リフォーム費用の多くは、入居者から受け取った礼金などで賄えます。
綺麗な状態を保てる
投資用不動産のリフォームを行えば、当然建物が綺麗な状態を保てるようになります。
また、入居者が退去した後、室内のクリーニングをするだけでは、年数の経過とともに部屋がどんどん古くなっていきますが、明らかに老朽化している部分をリフォームしておくことで、内見時などには好印象を持ってもらいやすくなります。
リフォームのデメリットについて
では、投資用不動産のリフォームには、一体どんなデメリットがあるのでしょうか?
主なデメリットは以下の通りです。
- コストパフォーマンスが良くない
- 新しいターゲットは集まらない
それぞれ、詳しく見てみましょう。
コストパフォーマンスが良くない
例えば、ユニットバスをバストイレ別に変更するリノベーションと、ユニットバスにおける浴槽を交換するリフォームという2つの選択肢があるとします。
このとき、後者の方が費用は安かったとしても、前者の方がコストパフォーマンスは良い場合があります。
なぜなら、前者は新しいターゲットを集められるのに対し、後者はただ単に元々あった設備が綺麗になっただけだからです。
新しいターゲットは集まらない
これも先ほどのデメリットと近いことなのですが、投資用不動産のリフォームを行っても、新しいターゲットの開拓には繋がりません。
例えば、女性をターゲットにしたいのであれば、セキュリティ性を上げたり、クローゼット等の収納スペースを増やしたりするリノベーションが必要になります。
リノベーションのメリットについて
続いては、投資用不動産のリノベーションにおけるメリットを見てみましょう。
具体的には、以下が挙げられます。
- 少ない費用で不動産投資が始められる
- 利回りが上がる
- 差別化できる
それぞれ詳しく見てみましょう。
少ない費用で不動産投資が始められる
新築物件を購入するよりも、中古物件を購入してリノベーションを行った方が、初期費用は抑えやすいです。
また、リノベーションの内容によっては、お得な費用で新築同様のスペックを手に入れることもできます。
利回りが上がる
投資用不動産のリノベーションを行えば、初期費用が減る分、利回りが上がります。
また、同じ築年数の物件よりもグレードが高い分、賃料も高く設定できる可能性が高いです。
差別化できる
投資用不動産のリノベーションを行えば、他の類似物件と差別化できます。
「共用部分が綺麗」「管理会社の対応が良い」というだけでは、やはり同じような物件の中で抜き出ることはできませんので、リノベーションは必須でしょう。
リノベーションのデメリットについて
投資用不動産のリノベーションには、それほど目立ったデメリットはありませんが、しいて挙げるとすれば、“工期が長くなる”という点でしょう。
新築の投資用不動産の場合、購入してから管理会社決め、入居者付けと比較的スムーズに運営を開始できる体制を整えられます。
ただ、中古物件を購入してリノベーションを行う場合は、そういうわけにもいきません。
まずは、リノベーション計画を立て、建築会社の選定や工事の実施を行った上で、ようやく管理会社の選定に移ります。
つまり、投資用不動産でリノベーションを行う場合、なかなか運営を始められない可能性があるということです。
よって、物件購入のタイミングによっては、もっとも入居者付けに向いている時期を逃してしまうかもしれません。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは以下になります。
- “古くなった建物を新築に戻す工事”が“リフォーム”
- “規模の大きい工事を実施し、投資用不動産に新たな魅力を加える”のが“リノベーション”
- リフォームは工事費が安いものの、新規ターゲットの開拓には繋がらない
- リノベーションは利回りの向上や差別化に繋がるものの、工期が長引く可能性がある
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!