賃貸物件のオーナー様の中には、体力的あるいは経済的な限界を感じ、不動産投資をリタイアしようと考えている方もいるでしょう。
また、その際は当然投資用不動産を売却することになるのですが、そのときに課税される税金について、不安を感じたことはありませんか?
特に新型コロナウイルスの影響を受け、経済状況が変わりそう…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、投資用不動産売却時の税金について詳しく解説します。
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投資用不動産売却時にかかる税金は4つ
投資用不動産を売却すれば、当然売却益が手に入ります。
しかし、売却時の利益がすべてオーナー様の手元に入ってくるわけではありません。
以下の4つの税金が、利益から差し引かれることになります。
- 印紙税
- 譲渡所得税
- 住民税
- 登録免許税
それぞれ詳しく見てみましょう。
印紙税
経済取引等に伴い、契約書または領収書などの文書を作成したときに、印紙税法に基づいて課税される税金を“印紙税”といいます。
投資用不動産の売却では、売買契約書が交わされるため、印紙税は必ず支払うことになります。
ただ、支払うといっても、他の税金のように支払表等で支払うわけではありません。
売却する投資用不動産の金額に応じた分の“収入印紙”を売買契約書に貼り付けることで、印紙税は支払ったという扱いになります。
ちなみに、令和4年3月31日までの間に作成される不動産売買契約書については、軽減税率が適用されるため、これまでよりも少し印紙税が安くなります。
具体的には、以下の通りですね。
投資用不動産の売買金額 | 印紙税額(軽減前) | 印紙税額(軽減後) |
10,000円以下 | 0円 | 0円 |
10,000円以上10万円以下 | 200円 | 200円 |
10万円以上50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円以上100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円以上500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円以上1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円以上5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円以上1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円以上5億円以下 | 10万円 | 60,000円 |
5億円以上10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
決して高額な税金とは言えませんが、投資用不動産の売買価格が上がるほど税額も高くなるため、上記の金額は必ず頭に入れておきましょう。
譲渡所得税、住民税
投資用不動産の売却益に対してかかる税金を“譲渡所得税”といいます。
ちなみに、この譲渡所得税というのは、あくまで売却益に対して課税される2つの税金の総称で、正確には“所得税”と“住民税”がかかることになります。
また、売却益は正式には”譲渡所得“と呼ばれ、これは給与所得など他の所得とは分離して、所得税と住民税を計算し課税されます。
つまり、譲渡所得税がどれくらいかかるのかについては、まず譲渡所得がいくらなのかを計算しなければいけないということですね。
譲渡所得の計算式は以下の通りです。
・収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=譲渡所得(課税譲渡所得金額)
何十年も前から所有しているような古い投資用不動産の場合、取得費が明確ではない場合もあるかと思いますが、そのときは売却金額の5%を概算の取得費として計算できます。
そして、譲渡所得税の税率は、その物件の所有期間によって異なります。
5年以上の場合は“長期譲渡所得”、5年以下の場合は“短期譲渡所得”が適用され、さらにそこに住民税、復興所得税がプラスされます。
所有期間 | 所得税率 | 住民税率 | 復興所得税率 |
5年以上(長期譲渡所得) | 15% | 5% | 2.1% |
5年以下(短期譲渡所得) | 30% | 9% | 2.1% |
ちなみに、“復興所得税”とは、正確には“復興特別所得税”といい、東日本大震災の復興に用いられるために創設された税金です。
納税義務がある方すべてが支払わなければならず、税額は一律で2.1%となっています。
また、復興所得税は、2037年まで実施される予定です。
登録免許税
投資用不動産の所有者が変更になる際の登記にかかる税金を“登録免許税”といいます。
一般的には、物件を購入する際の所有権移転、抵当権設定時の登記費用を指しますが、売却の際もこの税金を負担することがあります。
具体的には、抵当権抹消の登記費用ですね。
売却する投資用不動産にローン残債がある場合のみ、売主はこの登録免許税を負担します。
金額は以下の通りです。
・抵当権抹消登記の登録免許税:1,000円(不動産1つあたり)
このとき勘違いしてはいけないのは、“不動産1つあたり”に1,000円が課税されるという点です。
“投資用不動産1軒あたり”ではありません。
つまり、土地と建物、併せて2つの不動産を売却することになるため、2,000円の登録免許税がかかるということですね。
なお、抵当権の抹消については、司法書士に代行してもらうのが一般的なため、数万円程度の手数料がかかることも忘れてはいけません。
投資用不動産売却時の特例について
投資用不動産は、オーナーにとっての居住用不動産ではありませんので、マイホームの3つの特例、譲渡損失が出た場合の損益通算・繰越控除が利用できません。
ただ、“特定事業用資産の買い替え特例”という制度は利用できます。
これは、個人が事業の用に供している特定の土地・建物を売却し、一定期間内に特定の土地・建物の資産を取得したとき、その取得の日から1年以内に買い換え資産を事業の用に供した場合に受けられる特例です。
投資用不動産の売却はエクステージジャパンへ!
投資用不動産の売却には、投資家をターゲットに行う方法と、買い取り業者をターゲットに行う方法があります。
前者の場合、なかなか買い手が見つからず、リタイアが遅れてしまうというリスクがありますが、買い取りの場合、すでに買主は買い取り業者と決まっているため、スピーディな売却が実現できます。
当社エクステージジャパンは、投資用不動産の中でもワンルームマンションの売買仲介をメインに行っています。
もちろん、その他の投資用不動産の買い取りにも対応していますので、興味がある方はぜひお問合せください。
今回の記事のポイントを整理!
今回の記事のポイントは下記の4つになります。
- 印紙税は不動産売買契約書に印紙を貼付して収める税金
- 譲渡所得税、住民税は譲渡所得に対してかかる税金
- 登録免許税は抵当権抹消登記を行う際にかかる税金
- 投資用不動産の売却時は、マイホームの特例や譲渡損失の損益通算・繰越控除ができない
以上のポイントはしっかりと頭にインプットしておきましょう!